「もう本当に生きていけるだけの生活費しか稼げていなかったので……。以前の50万円という月収に戻るのは無理だという感覚もあって。早くしないと、もっと大変なことになる。どんどん増えていっちゃうし、1回ゼロにしなきゃいけないと思いました」

 以前は物がないと安心できず、配信の際も常に新しい服を着ていないと飽きられるのではという強迫観念めいたものに駆られたが、自己破産以降、身の回りにあった物の多くは整理した。借金の理由として道具からそろえることを挙げたが、ほかにもあって……。

いつか個展をニューヨークで

「昔は衣装を用意していただいて、よいものを着て、メイクさんにすごくきれいにしてもらった状態で、自信を持ってテレビや雑誌に出させていただいていました。それがフリーになって自分でやっていかなきゃと思ったら、これも必要かな、あれも必要かなって考えてしまって、借金が増えていきました。たくさんお金がかかるけど、自分の力で返していけるっていう自信はどこかにあって、でもまさかこんなコロナ時代が来るとは思っておらず……」

 生活保護の申請では役所の担当者の優しさに触れた。

「当時、私は所持金が4000円くらいしかなくて。申請して受給が決まるまで2週間あるんですね。それで福祉課に“貸し付け”という形で、受給が決まったらそこから引かれるのですが、お金をお借りしました。

 あとはアルファ米という水で戻せるお米をいただいて。そのときに泣いちゃって……。このような状況にしてしまった自分が情けないのと、でもこうなっちゃったから、もうしょうがないというのもありますし、助けてくれる場所があるという安心感とかで、もう本当に……

右が自身の陶芸によるカップ。左は現在の大谷の収入源として大きい、タイダイ染めのTシャツと絵画
右が自身の陶芸によるカップ。左は現在の大谷の収入源として大きい、タイダイ染めのTシャツと絵画
【写真】大谷雅恵が自作した「陶芸カップ」と「ダイダイ染めのTシャツ」

 今後の活動についてはどのような展望が?

「コロナがある以上は、まだ前みたいにライブをたくさんするというのは無理かもしれないんですけど、音楽活動をいちばんに考えていきたいというのは変わりません。それができるようになるまでは、本当に自分がやりたいこと、もっと自分の可能性を伸ばしていけるものをやりたいです。

 それはやっぱりタイダイ染めとか絵なので、個展をやりたいと思っています。ライブもできて、自分が作ったものも展示したり。そうなるとお金もかかるので、クラウドファンディングなどでできたら。大きな夢として個展はニューヨークでいつかやってみたいです! なので、まず日本でぜひ個展を開きたいですね」