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ー 経営陣から反対の声があった「辛ラーメン」
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ー チーズに牛乳、広がるアレンジレシピ

 

 日本でも多くのファンを持つ韓国のインスタントラーメン「辛ラーメン」。うまみと辛さが効いたスープと独自の中太麺が人気を博し、1991年以降、韓国市場売り上げNo.1を記録している。世界約100か国で愛されている辛ラーメンの誕生から現在までをたどる。

経営陣から反対の声があった「辛ラーメン」

 去る4月10日は「辛ラーメンの日」だったことをご存じだろうか。4(フォー)と10(トウ)でホット(辛い)という語呂合わせから、日本で辛ラーメンを販売する株式会社農心ジャパンが制定した。

 コロナ禍を経て巣ごもり需要が拡大したなかで、インスタントラーメン業界は世界的に大躍進を続けている。農心も例外ではなく、2021年10月の発表では海外売上高が5000億ウォンに到達し、初めて韓国国内売上高を上回った。今年は年間売上高1兆ウォン突破を見込み、この4月からはアメリカで第2工場を稼働させるなど、辛ラーメンブランドのさらなる世界シェア獲得を狙っている。

「1983年に発売を開始した『安城湯麺(アンソンタンメン)』のヒットを通じて、牛肉ベースの深い味わいと辛さが調和した辛いラーメンこそ、韓国で最も求められる味だと確信しました。その後、唐辛子・にんにく・しょうがなどの材料を配合した韓国の伝統的な複合調味料『ダデギ』による辛みとうまみ、さらには辛いスープによく合うもちもちの麺を研究開発することで、1986年に辛ラーメンが誕生し、今年で36周年を迎えます」

 そう語るのは、農心ジャパン・マーケティング部の高木佳矩さん。「男を泣かせる辛いラーメン」というCMコピーも当たり、1991年以降は韓国国内での売り上げトップのラーメンとして市場を牽引し続けている。同社マーケティング部の鄭永日(ジョンヨンイル)部長は、開発当時の商品名にまつわるエピソードについて教えてくれた。

日常のさまざまなシーンで食され、老若男女を問わず愛される韓国のソウルフードに成長
日常のさまざまなシーンで食され、老若男女を問わず愛される韓国のソウルフードに成長

「創業者の辛春浩(シン・チュンホ)が辛いラーメンというコンセプトに合わせて“辛ラーメン”と名付けました。ただし、商品のブランド名は会社名かつハングルでの表記が当時の主流だったため、漢字を商品名として使った前例があまりなく、経営陣からは反対の声もあったようです。実際に、発売当初は辛と幸を混同して“幸ラーメン”と呼ばれたり、ハングルの似た文字の読み方である“プラーメン”と呼ばれたりすることもありましたが、今では韓国が世界に誇る一大ブランドに成長しました」

 発売以降、順調に売り上げを伸ばし続ける辛ラーメン。韓国文化の象徴的な食べ物として定着し、韓国映画やドラマにも辛ラーメンは度々登場している。黄金色のアルミ製ラーメン鍋から直接すするシーンなども印象的だが、昨年Netflixで配信されたドラマ『D.P.―脱走兵追跡官―』では、袋に直接お湯を入れてそのまま食べる“ポグリラーメン”という食べ方が登場し、話題になった。

「ポグリとは煮込むときの“グツグツ”といった擬音語が由来の言葉で、若者の間でよく見られる食べ方です。徴兵制のある韓国では、軍隊の間でもポグリラーメンが好まれています。鍋や器を使わないから、手軽に作れる点が人気なのでしょう。

 ほかにも、子どもたちが塾の合間に夜食としてカップタイプの辛ラーメンを食べていたり、お酒を飲んだ後の“ヘジャンラーメン”(酔い覚ましラーメン)として食べられたりと、日常のいろんなシーンで愛されています。日本で“ちょっとお茶していかない?”と声をかけるように、韓国では若いカップルの間で“うちでラーメン食べていかない?”なんて誘い文句になったりすることもありますね」(鄭部長)