「トイレ行くのめんどくせーからここで」
セコケチ三家族の食事風景もなかなかのインパクトだったとか。
「彼らの持ってきた食材はやはり足りなかったようで、大人たちや子供たちがそれぞれお互いに『一口ちょうだい!』と勝手に人の物をバクバク食べ合って、奪い合っていました。
『〇〇ちゃんは太ってるんだからダイエットしなよ!』とか、『食べてあげるよ!』って、ドロ沼の食料争奪戦が……(笑)。大人も子どもも一緒になってですよ?『一口ちょうだい!』『あー! 勝手に盗んだ! じゃあ二口もらうからね』『三口よこせよ!』って、もう笑っちゃいけないけど、やってることがぶっ飛びすぎてコント状態でした」
なにがあっても、絶対に関わりたくない家族ですね……。
「ほかにも、大人の男性も子どもも川でそのまま立ちション(立ったままおしっこ)をしたときは、思わずやめてーーーーーーー!!! と叫びたくなりました。しかも大人が『トイレ行くのめんどくせーから、ここでやっちゃえよ!』って子どもたちを誘っていたんです。いや、誘うなよ! うち、下流にいるから! しかも今まさに子どもが川で遊んでるのに。
でも注意したら逆上して何を言われるか怖かったので、周りの家族は全員シーンとしていて。みんな絡まれたくないから、どんどんテーブルやコンロを遠くに持って行って、全員ゆっくりと後退していって(笑)。一部始終を私と見ていた中学生の息子が、ぽつりと『触らぬバカにたたりなしだね……』って。ほんとそれ、まさにそれ」
そしてセコケチ三家族の周りにほとんど人がいなくなり、やっと片付けをして帰るとおもいきや……。
「大騒ぎをしていたのに、あっという間にそれぞれの車で解散したんです。『車でいなくなったけど、飲酒運転じゃないの!?』って呆れました…。私たちが気づいてないだけで、飲んでない人もいたのかもしれませんが……。
片づけの手際だけはめっちゃ早いなと思っていたら、まさかのコンロに炭がそのまま! しかもまだ消火していないし、真っ赤なんですよ。小さめの簡易コンロは中の炭が河原にバラまかれていて、こちらは申し訳程度に水がかけられていたけど、一部はジュクジュクと燃えていて……。ヘタすればボヤ騒ぎだってあるし、なにより子どもたちや動物が触って大やけどしかねません。本当に、もう二度とBBQをやらないでほしい」
昨年の2021年も東京都大田区の多摩川の河川敷で、「BBQ後に燃えたままのコンロや炭を放置されていた」とTwitterに画像が投稿されて話題になりました。
毎年うんざりするほど絶えない、BBQの迷惑行為。自分たちさえ楽しければそれでいいと大騒ぎする大人たちを見て、子どもたちは何を思うのでしょうか。
BBQの文化の普及と啓蒙を目指す活動をしている「日本バーベキュー協会」は、安全に楽しむための「バーべ九則」を提案しています。その中には「子供相客(あいきゃく)に心せよ」「飲んだら運転しない」「来た時よりも美しく」とあるのですが、セコケチ三家族は100%知らないことでしょう。
マナーを守ってこそ、BBQを最後まで楽しめるというもの。それでこそ、極上の夏の思い出になるはずです。
<取材・文 赤山ひかる>