あらためて写真で見ると死後1か月ほどだった
程なく落ち着きを取り戻したであろうKさんから再びLINEが来る。
《焦って帰りましたが、あらためて写真で見ると、さほど新しい死体でもなさそうです。過去に出会ったものと比較すると、おそらく死後1か月くらいかな。夏場だったら2か月で骨になるけど、冬場はあまり変化しない。地面から足が浮いていたから、虫に食べられず済んだのかもしれませんね》
Kさんの見解もやはり他殺死体だ。再度、現場に戻って警察に通報しようと決めた。
数週間後、Kさんと僕は樹海に入った。
そのご遺体があった場所は、富岳風穴と精進湖の中間点だった。観光ルートでもなく、自殺場所としてもあまり選ばれないエリアだった。
以前、この一帯をKさんと歩いたことがあるが、やたらと骸骨が見つかった。自殺場所としてはマイナーであるため、自殺者が発見されることなく、そのまま骨になってしまうケースが多いのだ。
1日で4体の骸骨を見つけたこともあった。木にロープが吊るされていて、その下にバラバラと骨が転がっている。もう怖いという感じもせず、ただただ物悲しい雰囲気が漂っていた。頭蓋骨だけが見当たらないこともあった。
「頭蓋骨は丸いのでコロコロと転がってしまうんです。かなり離れた場所で発見されることも多いですよ」
と、Kさんは口早に解説してくれた。
書籍『完全自殺マニュアル』で紹介された場所に自殺者多数
ちなみに自殺者が最も多く見つかった場所は、ミリオンセラーにもなった書籍『完全自殺マニュアル』に“ここで死んだら見つからない”と紹介されていた場所だ。
「その場所では1日に何体も見つけることも。当時は2ちゃんねるで募った“死体探し仲間”と来ていましたが、その一帯はあまりにもたくさん見つかるので“死体の団地”と呼んでいました」(Kさん、以下同)
自殺者を探すために樹海に入る人は、実はたくさんいる。絶対に死体を見つけてほしくない人は、樹海で自殺しないほうがいい。
話を戻そう。つまり今回は樹海の中ではマイナーな自殺スポットで発見されたケースだ。本来は見つかりづらい場所だが、偶然すぐ近くに道があったのだ。
「旧登山道か旧生活道路ですね。目立つ道路じゃないけど、たどって歩く人がいたら見つけてしまいますね」
ただしKさんが見つけた直後にどかっと雪が降り、樹海には入れない状態になっていたという。