「幼いころはおとなしくて、頭のいい子やった。父親は商売上手でどんどん羽振りが良くなって、40年前に大豪邸を建てていた。貴徳も私立の中高一貫校に通わせていたね」(近所の住民)
桃田容疑者は大学を卒業すると、社長だった父親の片腕として働くように。
「お嫁さんは良家のお嬢さんをもらって、やがては3代目となるやろう一男も授かった。父親は“いい嫁さんをもろうたわ”と喜んどったな。その後、貴徳は専務になって、あとは父親から会社を継ぐだけと順風満帆やった」(同・住民)
当時、容疑者一家は会社が所有する高級マンションに住んでいたという。
「11階建ての10階、豪奢にリフォームされた部屋に住んでいた。奥さんはきれいで、上品で素敵な方でしたが、容疑者は挨拶すらできない人。偉ぶっているというわけではなくて、なんか変な人でね」(同じマンションの主婦)
近所の別の住民は、こう指摘する。
「それは父親譲り。近所づきあいができひんのよ。でも、親子仲はよくて、貴徳は出社するとき、実家に父親をわざわざ車で迎えに行っとったぐらい」
ところが、7、8年ほど前に、その良好な親子関係を一変させる事態が起きた。
会社の事務職の女性に手を出した
「貴徳は妻子ある身でありながら、会社の事務職の女性に手を出した。そして、妻子を捨てて、その女性と一緒になった」(同・別の住民、以下同)
その女性こそが、小野真由美容疑者だった。
「妻子を捨てた息子に、父親はもうカンカン。でも、父親はあと数年で80歳だから、ほんまは早く息子に会社を継がせたいんやろうけど……。その上でこの事件やから、ショックやわな」
取材を進める中、新たな事実が発覚。両容疑者が放置した11時間は虚偽の供述で、あろうことか放置は2日以上だった。2人と五男は、USJ近くにあるホテルに2泊していたのだ。捜査関係者はこう話す。
「容疑者らが放置したことと優陽ちゃんの死に因果関係があるのかを含めて、捜査を続けています」
現状、容疑者らは保護責任者遺棄の疑いだが、
「この罪だと懲役3月以上、5年以下で執行猶予がつくこともあり得る。だが、死との因果関係が証明できれば保護責任者遺棄“致死”となって懲役3年以上、20年以下と量刑が重い。警察はこれを狙っている。2日以上の放置が判明したことで、“致死”が成立する可能性はかなり高い」(法律関係者)
わずか2年しか生きられなかった優陽ちゃんの無念に、少しでも報いてほしい。
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その後、優陽ちゃんは手足を粘着テープで縛られていたことが判明。容疑者らは監禁致死容疑で追送検されたのだ。
警察の取り調べに、小野容疑者は黙秘し、桃田容疑者は「27日は少なくとも私は縛っていない」と供述しているという。いずれにしても失った命はもう戻ってこない。