高齢の親に「お金の終活」サポートを
高齢の親がお金の終活をしていなかった場合、そのサポートも急がねばならない。
「親に終活の意識を持ってもらうためにも、先に自身でお金の終活のやり方を理解し、実践しておくのがいいでしょう」(馬養さん)
お金の終活の財産リストは詳細にまとめたほうがいいと考えがちだが、実際は逆。内容によって後述するリスクやトラブルを招くことも少なくないため、書き込みすぎはむしろ危険といえる。左で紹介する項目を基本に、必要な情報だけ記すのが望ましい。
「要は、財産の所在をわかるようにしておけばいいのです。例えば銀行預金の場合、『〇△銀行□×支店』と書く。この情報を遺された家族が目にしたら、故人名義の預金にたどりつけますよね。なんの手がかりもなく故人の口座を探し出すのがいちばん大変なんですよ」(馬養さん)
財産の所在は夫婦どちらか一方ではなく、世帯単位で明らかにする。
迷うのはキャッシュカードの暗証番号や預貯金などの残高を記すか否かだろう。馬養さんの判断は「どちらも記す必要なし」
「盗難などのリスクを考えると、暗証番号や残高を書くのは望ましくありません。また家族でも、暗証番号を使ってお金を引き出すのは基本NG」
では、家族がアクセスしづらいネット銀行やネット証券といったオンライン上の財産はどうすればいいのか。
まずは10秒でできるパスワードのメモを
「もっとも簡単なのは、PCやスマートフォンのログインパスワードを書いておくことです」(伊勢田さん)
PCやスマホを使う際、本人確認のために入力するのがログインパスワード。
「家族が故人のPC、スマホを開けることができれば、ブックマークするサイトやアプリなどからネット銀行やネット証券の存在はわかります。ログインパスワードを書き残すだけなら10秒ですみますよ。ネット銀行やネット証券の会社名を記しておけばより親切ですね」(伊勢田さん)
ちなみにログインパスワードなしにPCやスマホを開くのは大変。特にスマホはハードルが高く、あきらめざるを得ないケースも多い。
「ログインパスワードは別途保管をオススメします。今回の付録の該当箇所に書いたら切り取り、預金通帳などの重要書類と一緒に金庫や机の引き出しに入れておきましょう」(伊勢田さん)