「カフェで会うことになりました。女性は私より5歳年下のモデルの卵と言っていました。女性はテーブル席の私の前に座るなり、“彼と婚約しているから別れて”と左指に光っているリングを見せつけたんです」
そのリングは、志穂さんがもらったリングよりも高価なブランドのもの。腹は立ったが“短気は損気”と自分に言い聞かせて、
「何年付き合っているのかを聞くと“半年”と答えてから“出会ってすぐに意気投合したの。その日のうちにプロポーズされたの”と誇らしげでした。そこで私は“プロポーズされたのに、すぐに結婚しなかったのはなぜ”と聞きました。その女性は苦々しい表情で“あなたがいるからよ”とすごい目で睨んだんです」
そのとき志穂さんは“勝てる”と確信したという。
「“私は15年来の彼女だから、簡単に別れることなどできないの。時間の無駄だから、彼と別れてほかの男と付き合いなさい”と一歩も譲らなかったんです。無言で睨みつける女性に“それに私は彼の両親から、将来の妻と認められているの。あなたは彼の両親に会った?”と言うと、黙ってしまいました。
そのまま彼女はスマホを取り出して、黙々と操作を始めたんです。それ以上話すことは何もないので、すぐにカフェを出ました」
15年以上付き合って、ようやく結婚
それからは「何があっても動じない」と決め、結婚を急ごうとした。タイミングよく彼の両親が「15年以上も付き合っているんだから、結婚すべきでしょう」と結婚を後押ししてくれたという。
「彼も“そうだな”とうなずいたんです。やっと結婚できるとうれしくなりました」
その後、志穂さんの両親と彼の両親の6人で食事してから、結婚の日取りが決まった。だがプロポーズの言葉はなかったという。
「いつも一緒にいるから、今さら改まることはないよと言う彼に、“プロポーズしてほしい”と言いました。女性はプロポーズの言葉で幸せになれるのよと伝えると、“そうか”とびっくりしていました。多くの女性と付き合ってきたのに、相手の気持ちがわからないんですよ。じゃあ、私が教えてあげなきゃと、初めて彼に対して優位な気持ちになりましたね」