業者に任せた結果“実家ロス”に

 ハードルは親の説得だけではない。子自身が片づけ=親の生きた証しの処分と感じ、罪悪感から躊躇する場合もある。実際、親の死後も実家を片づけられず、空き家の維持に年間数十万円を支払い続けている例は少なくない。

 では、プロに依頼するのが正解なのか。費用は賃貸か一戸建てかで変わるものの、相応の負担は必至だ。

【片づけ業者の費用の目安】

賃貸/2LDK 15万~20万円
賃貸/3LDK 30万円
一戸建て 20万~100万円

「業者に頼めば片づけは1~3日で終わります。その代わり、気持ちを整理する時間が持てない。“実家ロス”に陥りやすいのです」

 大変な作業でも、片づけに向き合うこと。するとそこで数々の品に出会い、親の思いを知ることができるのだ。

「最近、写真など思い出の品が散乱する現場によく出くわします。多くは孫世代のお客様で、『すべて捨ててください。自分のものではないので』とドライな対応をされる。なんだか寂しいですよね」

 はたして、親の家の片づけは子の義務なのか。後悔なく片づけるにはどうしたらいいのか。

【親家片・実家じまい】
理想的な進め方


家の査定をする
 事前準備として、不動産業者に実家を売却した場合の価格査定を依頼する

親やきょうだいを説得する
 実家の片づけを親やきょうだいに打診。売れることがわかっていると協力を得やすい

荷物の仕分け、処分
 荷物を必要なもの、不要なもので仕分け、整理。片づけの専門業者に依頼するのも手

家の売却を業者に託す
 空き家となる場合、売却も検討。不動産業者に託して売れれば実家じまいできる

江本圭伸さん
江本圭伸さん
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教えてくれたのは…
江本圭伸さん


 くらしの解決研究所にて、高齢者の住まいの相談を受けている。親の家の片づけ、実家じまいの事情に精通し、その相談およびサポートを行っている。全国各地の実績も多数あり。https://kurashi-2020.jp/

取材・文/百瀬康司