知っておくべきサウナのリスク
入浴といえば、最近注目されているのがサウナだ。熱いサウナと冷たい水風呂に交互に入ることで、血流改善や疲労回復が期待できるが、極端な入り方は健康を害するおそれがあるという。
「サウナで温めて広がった血管が、冷たい水風呂で一気に収縮するとポンプの原理で血流が促進されます。しかし血管や心臓に強い負荷がかかるため、心筋梗塞などの病気が増える50代以降はリスクが高まります。また、若い世代でも不整脈の危険性があり、要注意です」
さらに温冷交代浴で得られる「ととのう」と呼ばれる快感も、身体にいい効果ではない可能性がある。
「身体に強い負荷が加わると痛みを抑えるため、脳内麻薬ホルモンのβエンドルフィンが分泌されて快感を感じます。ランナーズハイなどがこの状態。極端な温冷交代浴でも同じ現象が起きているのでは」
急激な血圧の変動で一時的に脳内に虚血が起き、頭がボーッとすることもあるという。
「負荷の強い温冷交代浴は危険を伴うので注意が必要。手足の先に水を軽くかけるだけでも効果は得られるので、無理のない範囲で楽しみましょう」
わざわざサウナに行かずとも、日本には自宅に最高の健康効果が得られるお風呂がある。ぜひ、有効活用したい。
教えてくれた人は早坂信哉さん
東京都市大学人間科学部長・教授。温泉療法専門医、博士(医学)。20年にわたり3万人以上の入浴を調査した、入浴や温泉に関する医学的研究の第一人者。著書に『おうち時間を快適に過ごす 入浴は究極の疲労回復術』(山と溪谷社)など。
<取材・文/井上真規子>