重病サイン3 酸っぱいものだけむせる→食道がん

 なぜか酸っぱいものを食べたときだけむせる場合は、食道がんや咽頭がんの心配がある。口からは、食べ物が入る食道と、吸気が入る気道が延びている。どちらの管をオープンにするかは上部にある分かれ目で交通整理が行われているが、その近く、食道の最上部や喉頭や咽頭付近に腫瘍があるとむせやすくなる。

 がんが進行すると、どんなものでもむせるようになるが、初期は特に酸っぱいものにむせやすいので、早期発見のサインになるのだ。

 また、風邪のような声のかすれにも注意。なかなか治らない場合は、声帯付近にがんがある可能性がある。

 食道がんも咽頭がんも、発見が遅れるとやっかいながん。予防には定期健診で胃カメラを入れることだ。

「その際には『食道も心配なのでよく見てください』と一言添えましょう。胃カメラは胃の検査がメインですが、その一言が命を救います」

重病サイン4 軽い運動で左胸が痛む→狭心症

「動くと左胸が痛むが休むと収まる」というのは、実は狭心症に特徴的な症状。原因は、心臓に血液を送る血管が動脈硬化を起こして狭くなっていること。運動すると心臓は多くの血液を必要とするが、血管が狭いと十分な血液が行き渡らず、心筋が酸欠になるせいで心臓のある左胸が痛くなるのだ。最悪の場合、狭心症から心筋梗塞を起こし、突然死するおそれもある。

病院ではジョギングを5分すると痛くなるなど、具体的に伝えることが大切。CT検査で診断できるので、心配な人は循環器内科で検査を受けることをおすすめします」

重病サイン5 のどが渇く日が続く→糖尿病

 糖尿病とは、糖のコントロールがうまくできず、血液中の糖が増えてしまう病気。糖は水分を引きつけるので、糖が多いと体内が水分不足になり、異様にのどが渇くことになる。糖が血管内に増えて、体内に取り込まれなくなるので体重も減ってくる。

 糖尿病を放置すると怖いのは合併症だ。糖尿病性網膜症による失明のほか、透析が必要になったり、脳卒中や心筋梗塞など突然死を引き起こすリスクも高まる。防ぐには、やはり早期発見・治療だ。

「ある25歳の男性は、なぜか2か月前からのどが渇き、体重が減ったと受診。血液検査でHbA1c(血糖値を示す数値)が高く、糖尿病と診断しました。食事や運動指導と薬でのどの渇きは改善し、体重の管理を行い、薬も不要に。早期治療の成果ですね」

糖尿病になると脳卒中の発症率が3倍に!出典:久山町研究(Fujishima.etal.)より作成
糖尿病になると脳卒中の発症率が3倍に!出典:久山町研究(Fujishima.etal.)より作成
【写真】糖尿病になると脳卒中の発症率が3倍に!

重病サイン6 心当たりのない腰痛が続く→老人性うつ

 腰痛になったら、ぎっくり腰や腰椎ヘルニアをまず疑うだろう。ところが、腰痛のなかには、うつ病から起こるものが意外に多いことがわかっている。この場合は整形外科でエックス線検査をしても異常は見つからない。

 うつ病は気持ちが極端に落ち込んで悲観的になってしまう病気。精神的なストレスで自律神経が異常をきたし、それが痛みとなってあらわれることがある。頭痛や肩こりも起こるが、特に起こりやすいのが腰痛だという。

 最近は、65歳以上の高齢者がかかる「老人性うつ」が問題になっている。定年退職や子どもの独立など環境の変化によるストレスが原因になることが多い。活動する意欲を失って不活発になると、筋力の低下が進み、寝たきり予備群になるおそれも。

「落ち込みがひどければ、整形外科ではなく、心療内科や精神科へ。高齢者の活動低下を防ぐには抗うつ剤の服用も検討しましょう」