ホルモンバランスの変化も口臭の原因に
口臭にはいくつか種類がある。「病的口臭」と呼ばれる悪臭の原因の多くは歯周病。実は、日本では約8割の人が罹患しているといわれ、“歯周病大国”といっても過言ではない状況なのだ。
「歯周病は静かに進行する。軽度では自覚できる症状がほぼなく気づきにくいのです」
健康なら薄いピンク色をしている歯茎が赤くなったり、腫れがみられる場合、歯肉炎という歯周病の初期症状である場合が多い。さらに歯ブラシを当てて慢性的な出血があるようなら、悪化している可能性が高い。
「最初は歯茎だけの炎症が、悪化するにつれて骨まで達して歯を溶かし始める。重症になるほど健康な歯を取り戻すのは難しくなります」
歯茎が下がって歯の露出面積が増えたり、歯の隙間に食べ物が挟まりやすくなったり、歯がぐらぐらするなどの症状があれば、即、歯科医での治療が必要だ。加齢とともに、歯と歯茎のトラブルは増えていく。
ほかには、生活リズムの中で唾液の分泌が減り口内細菌が増えることで発生する「生理的口臭」にも注意が必要。唾液が減りやすいのは、起床直後、空腹時、緊張時など。口の中が乾燥していると、口臭がキツくなる。
「30代以上の女性は、ホルモンバランスの変化によって唾液の分泌量が減り、生理的口臭が強くなりやすいんです。
例えば、生理が近くなると口臭が強くなる傾向がありますが、更年期や閉経の影響を受ける50~60代の女性はより顕著になります」
加えて、口臭の思わぬ原因となっているのが、舌を出したとき、白くたまり込んでみえる「舌苔」という汚れだ。
ホルモンバランスのせいで唾液量が減ると、より舌苔がたまりやすくなるという。舌苔も細菌の固まりなので、放置せずに舌ブラシで取り除く必要がある。
「朝、鏡で舌を出してみて、白く汚れていたら、専用アイテムで数回ブラッシングを」
自分の口内環境の現状を知り正しいケアを実践すれば、気づかないうちに口臭で人を不快にさせることも少なくなるに違いない。
意外とできていない日本人多数!口臭を防ぐ習慣
毎日のプラークケア
・歯と歯茎の境目、歯と歯の間、奥歯の3か所を重点的にケア(補助アイテムがおすすめ!)
・歯ブラシを歯の面に対して45度の角度に当て、小刻みに優しくマッサージ
医療機関でケア
・2020年から、歯の定期検診にも保険が適用。3か月に1回、もしくは6か月に1回通う
歯科医が推奨する口腔ケア補助アイテム
磨きづらい箇所は清掃補助器具をプラス。タフトブラシは通常磨きにくい、奥歯の汚れを落とすのに最適。
舌の白い汚れ「舌苔」は、舌ブラシで取り除くことで口臭対策の効果アップに。
また、フロスは歯ブラシだけでは落としきれない歯間の食べかすや歯垢を取り除くため、ふだんから歯磨きに取り入れたいアイテムのひとつだ。
(取材・文/オフィス三銃士)