報道後は社内で犯人探しも
今年に入ってからは、こんな経費削減も……。
「店舗の改善指導をしてくれるスーパーバイザーが2022年はほとんど店に来ず、リモート通話でのやりとりでした。緊急事態宣言も解除され、行動制限があるわけでもないのに、です。どうして来ないのかと理由を聞いたら、交通費がかかるから、と……」
店舗の運営状況を確認し、商品の品質を維持するのもスーパーバイザーの仕事のはず。なのに、店舗に足を運ばないのは、怠慢以外の何物でもないという。しかし、それほどまでに本部の経営も追い込まれていたのだろう。
「『文春』の記事が出た後は、誰がリークしたのか、社内で犯人探しが行われています。会長兼社長が必死のようで、あの手この手で炙りだそうとしているようです。告発者は発見次第、処分を課すのでは……。私たちFCオーナーには誓約書が送られてきました。これ以上、マスコミに口外しないこと。口外した場合は刑事告訴をするという内容が書かれていました」
『乃が美』のFC店には『はなれ』という名称がつく。この窮状を変えようと、『はなれ』のFCオーナーたちは『はなれの会』を結成し、2022年2月には本部にロイヤリティ料の引き下げを申し入れた。もちろん受け入れられることはなかったが、その『はなれの会』にも変化が。
「告発後も、ロイヤリティ料を下げるという話は出ていません。というか、交渉しているオーナーはもういないのではないでしょうか。『はなれの会』も本部から“解散するように”と言われて、数か月前になくなりました。本部からすると邪魔な存在だったのでしょう。強く意見をすれば、本部の対応は冷たくなり、オーナー会議すら呼ばれなくなった人もいました。そうなると、キャンペーンや新商品の情報などがいっさい入ってこなくなるんです。そんなふうに“干される”のが怖くて誰も意見を言えませんでした」
そんな中、本部の経営方針に異議を唱え続け、今は『乃が美ホールディングス』と裁判で争っている元FCオーナーがいる。そのB氏が話す。
「私は『乃が美ホールディングス』と資本提携をしている投資ファンド『クレアシオン・キャピタル』に、FC契約をしないかと勧誘されたことがきっかけで店を始めました。そこで示された勧誘資料には、都内店舗の売り上げ実績が書かれており、単月の人件費に関する記載もありました。しかし、実際に運営したら、どうやってもその数字に抑えることができないのです。2020年7月から2022年3月までに都内で8店舗をオープンさせましたが、単月で黒字になったことは1度もありませんでした。そればかりか、ピーク時には毎月1000万円の赤字が続き……」
B氏は本部に訴えるも、望んだ支援は得られなかった。
「本部の人間が店舗に来ても、形だけの指導をするだけ。ポスターやポップにしても、システムからダウンロードしたものを、どの紙にどの大きさで印刷し、ポスターフレームは何を使うのかなどのアドバイスはいっさいありません。品質チェックのため、毎月パンを本部に送るのも、元払い。ロスは買い取りさせられ、CM費用も負担させられる。加盟店に経費を全部持たせておいて、同業他社のような新商品の開発もほとんど行わない。じゃあ、ロイヤリティはどこに使っているのでしょうか」