そして、この「大量の商品を全国規模で販売できる」というのが、そもそも100均ビジネスが成立するキーだ。
「100均」は効率的なビジネスモデルだった
「全国で大規模展開という会社の規模のメリットをいかして、大量の原材料を安く仕入れることが可能になっているのが、100均ショップが成立する一つの理由。原材料を作る企業も、100均のようにたくさんの量を一度に発注してくれる相手と仕事をしたほうが、安定した収入を得られますよね。100均が成立するもう一つの大きな理由は、商品の値段を固定化することで、すごく効率的なビジネスモデルになっているという点です。
まず、広告費は基本0円。商品は基本すべて100円なので、『この商品はいくらで、今度セールで10%オフになる』などの広告を打つ必要がありません。また、品出しなども通常の形態のお店に比べると圧倒的にシンプルで、商品の値段を決めるなどの工程もないので人件費も抑えられています」
とは言え、そんなとことん無駄を省いた100均ビジネスであっても、人気キャラクター商品を作るとその商品の原価は上がり、一見すると利益は減りそうだが……。
「これは、回転寿司を例にすると分かりやすいでしょう。回転寿司も基本的に一皿の金額は、100円~120円と統一している。ただ、使用する具材の原価が同じかと言われれば、全然違う。玉子やかっぱ巻きの原価は相当低いけれど、原価の高いマグロやハマチも同じ値段になっています。消費者は原価を考えて商品を選んでいるわけではないので、マグロを食べつつも、玉子などの原価の低いものも食べているので、全体の売り上げとしてみると原価のバランスが取れて利益が出ているから成立するんです」
100均ショップで1人が一度に使う値段は、直近では600円程度という調査結果が出ている。そのなかにキャラクター商品が何点か含まれていても、そのほかはノンブランド商品なので、著作権料は発生せず原価が抑えられている。そのため、比較的、利益幅の薄いキャラクター商品を売ることができるのだ。
キャラクターたちが担う“目玉商品”の役割
「それなら、いっそのこと原価の高い商品を除いたほうが儲かるのでは?と思いがちですが、そうすると目玉商品がないのでお店の魅力が減ることになります。キャラクター商品を置くことで『100円でこれが買えるんだったら』とお客さんが来る理由になるんです」
有名キャラクターのブランド価値をつけることで、その商品を目当てにお客さんが来る。100均ショップでは、前述したように一人あたり平均600円ほど使うため、結果的に原価の高いキャラクター商品が全体の利益アップにも貢献しているのだ。