倍率500倍、事故物件も多い都営住宅
老後を乗り越えるうえでもうひとつの課題となっているのが住居費。yamaさんの月の支出の3分の2以上は家賃が占める。ここを少しでも削ることができれば老後資金に余裕が生まれる。
「住居費を抑えるには公営住宅がいいと思って、都営住宅に申し込みをしました。けれども単身者の場合は倍率がすごく高いんです」
孤独死などによる事故物件も多いが、人気物件は500倍を超えることもざら。何度か挑戦を続けるが、なかなか当選の通知を手にすることはなかった。
「その後、都営住宅は小鳥が飼えないということがわかって、現在は応募をやめています。もちろん今の家賃はかなりの負担。
でも騒音もなく、スーパーも近い、母親が住む実家も近くてとても便利なため、もう少しここで頑張りたいというのが今の心境です」
お子さんが2人いるなら、同居という選択肢もあるが?
「自分でなんとかできるうちは、頼りたくないんです。それに今の暮らしが本当に心地がいいんです。子どもの世話や仕事に追われることなく、24時間すべて自分のために使える。
やりたくないことや行きたくない所は避け、自分の好きなこと、興味のあること、楽しいと思うことだけやれるから」
残りの人生、yamaさんはどんなビジョンを描いているのだろう。
「将来は悪いことが起きるかもしれないけど、反対に良いことが起きるかもしれない。だから良いことが起きると考えて日々生きています。
今日死んでも、90歳で死んでも後悔がないようにね。好きなことをやって、心穏やかに過ごすこと、これがいちばんの目標です」
お話を伺ったのは……yama(ヤマ)さん●1961年生まれの61歳。60歳から始めたYouTubeが人気を集め、現在の登録者数は2.3万人。2月22日に初の書籍『61歳、ひとり暮らし一年生。』(KADOKAWA)が発売予定。YouTubeチャンネル→https://www.youtube.com/@yamaziska
(取材・文/樫野早苗)