1971年、昭和天皇、香淳皇后ご夫妻は、初の外国訪問先としてヨーロッパへ。公式訪問先のひとつとして選ばれたのが、ベルギーだった。
「前年の大阪万博にボードワン国王の弟のアルベール王子(当時)が来日したことから、訪欧が実現。外務大臣主催の晩さん会で、高松宮妃とのお話し中に“香淳皇后が1度も外国訪問をなさったことがない”と聞いて、大変に驚かれたそうです。早速、アルベール王子は兄のボードワン国王にそのことを伝えて、ベルギーから昭和天皇に招待状が届いて、外国訪問が実現したようです」(報道記者)
元王妃は黒田清子さんを可愛がられた
3年後、ボードワン国王、ファビオラ妃夫妻も訪日。迎賓館が各国の賓客を接遇する賓客施設として改装されてから初めての招待客だった。
「以来、国王が日本を訪れたのは計7回。来日すると東宮御所を訪ねて、上皇(当時は皇太子)ご一家と庭の芋掘りに興じたり、浩宮さまが奏でる音楽に耳を傾けられたり、
礼宮さまと卓球をなさるなど家族ぐるみで交流をしました」(同・報道記者)
上皇ご夫妻は、英国のチャールズ皇太子とダイアナ妃の結婚式参列やスペイン訪問の帰りなどにも、足を延ばしてベルギーに立ち寄られた。
1984年、アフリカ訪問の際のお立ち寄りでは、ボードワン国王がイギリスに留学していた天皇陛下(当時は皇太子)を事前に呼ばれ、飛行機のタラップを降りてくるおふたりを迎えられるという計らいも。久しぶりにわが子の姿をご覧になった上皇ご夫妻は写真の中で、とてもうれしそうな笑顔を浮かべられていた。
ボードワン国王は'93年に崩御。ブリュッセルで行われた葬儀には、当時天皇、皇后だった上皇ご夫妻が出席された。海外王室の葬儀に両陛下で出席されたのは、初めてだった。都内でも追悼ミサが執り行われ、その年に結婚されたばかりの両陛下(当時の皇太子ご夫妻)も出席されている。
「ボードワン国王夫妻にはお子さまがいなかったことから、ファビオラ元王妃は黒田清子さんを娘のように可愛がられていたとか。葬儀の後に清子さんをスペインの別荘に招かれ、国王を偲びながら静かな時を過ごされたそうです」(元宮内庁職員)