入会したものの続けられない理由
「運動したいなと常々思っていても、本格的なジム通いは挫折してしまう」、そんな層にフィットしていることは間違いない。テレワークなど働き方も多様化し、思いついたときにエクササイズできるのはうれしいことだ。
「ジム運営に必要なのは手軽な価格だけではなく、安心感が持て、『運動を続けてみようかな』というモチベーションをキープさせること。ただ料金を下げて、入会してもらえればいいという話ではない」
ジムの会員を増やすうえでは、「価格」とともに「客の継続率」も重要。最初の取りつきやすさだけでは結局、会員が離れてしまいがちになるので、どこの店舗も「継続」「定着」にはいちばん苦心している。
「セルフでトレーニングしていても、物足りなさや面倒さでやめちゃう、という声もある。理想的なのは、定期の会員料金を格安に設定したうえで、必要なときにスタッフの指導や専門器具の貸し出しが受けられるような“追加オプションのシステム”を設けること。
スタッフ常駐にもつながるので、防犯対策はもちろん、会員にとってもジム側にとってもメリットが生まれます。そして、何よりも女性専用の時間帯や、店舗の環境を充実させること。しかし、話題性と集客に走るコンビニジム側は、現状ではそんなところまでは考えられていない。客の自己責任という名の“野放し状態”になっている面も否めません」
健康や身体づくりだけでなく、セキュリティー面にもしっかり配慮し、安心して通える環境を提供してもらいたい。
お話を伺ったのは日本フィットネス医学協会理事長・坂上翔一郎さん
早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修了。日本フィットネス医学協会理事長、Total Health Academy代表。Instagramアカウント(@kinniku_sensei)で身体づくりや栄養にまつわる情報を日々発信中。
<取材・文/オフィス三銃士>