澤井:やはりお2人のターニングポイントは2019年のキングオブコント優勝ですか?
江口:そうね。その時は森さんがとにかく出たいと意思が固まってて。
森:その時は「優勝したい!」っていうよりは、賞レースの大舞台で「色んな人にネタを見てもらいたい!」っていう気持ちが強くて。それで相方を説得して。
澤井:準決勝からめちゃめちゃウケていましたよね。あの「大きなイチモツを授けよう」の歌ネタは最高でしたね。
江口:たしかに手応えはかなり。ただよく考えると、決勝に行くってことは下ネタをゴールデンでやるってことだからさ。どうなるんだろって思ったよね。
森:そうそう。だから僕は決勝進出の方が嬉しかったんですよ。決勝進出=テレビでやらせてもらえるという意味合いだったので。
「AVにモザイクをかけてるようなもの」
江口:準決勝でめっちゃウケたから「やれるところまではやったな」と。あとはもうなるようになれって感じで。
森:準決勝で敗退したら、ああ俺らの下ネタはゴールデンじゃコンプラ的にダメなんだなと。結果的に優勝できたので良かったですよ。
澤井:それこそ「ゴールデンでも下ネタってアリなんだ」という風潮は、どぶろっくさんが作ったのかなとも感じていて。テレビがコンプラ的に窮屈になっていく中で、どぶろっくさんが決勝に行って優勝することで、ゴールデンの基準が変わったのではないのかなと。
江口:まあそれは大袈裟だと思うけど(笑)
森:でも以前は披露できたネタが、今だとNGを喰らうこともあるんだよ。中身は同じネタなのに。ある意味で世の中のコンプラを肌で感じているのは僕たちかもしれない。
澤井:ええ、それは悲しいですね……。コンプラが厳しくなっていく時代の空気感は、どぶろっくさんにとって逆風だと思うのですが、どのように対応しているんですか?
森:いやもう、ぶっちゃけ誤魔化し誤魔化しよ。
江口:例えば「きぇんたま」の歌とかね。テレビではできないから言い方を誤魔化したり。歌詞もそのまま言えないから「きゃんたま」って言ったり。
森:そうそう。「sting sting」とかね(男性器を誤魔化して表現)。法の網をくぐっているようなもんよ。
澤井:なるほど(笑)。だから余計に馬鹿らしくポップな感じになるんですね。
森:とあるNGワードを使った歌ネタのタイトルは「Dear My Friend」っていう正統派な感じで、メロディーもめちゃくちゃ爽やかなんだけどね。まあだからこそ「きゃんたま」みたいにオブラートに包んで。
江口:AVにモザイクかけているようなもんだよ。
澤井:めっちゃわかりやすい喩え!
江口:歌詞を考えている方は割と真剣なんだよ(笑)。どのワードを使うかで、やっぱノリが変わるからね。
森:途中で喧嘩になることもよくあるよ。僕らぐらいじゃない?「おっぱい」をどう表現しているかで喧嘩している人なんて(一同笑い)
澤井:いや、本当に失礼な言い方ですけど、めっっちゃ馬鹿ですね。
江口:今はないけど、本当に昔はよく喧嘩したよ。熱が入りすぎて泣いたりしていましたからね(笑)
森:本当に喧嘩の原因もくだらないし、今思うと恥ずかしいけどね(笑)
澤井:ラジオの時にも喧嘩してましたね。
森:そうそう。澤井くんは気まずそうに見ていたね。
江口:「俺がこうしてんだからこうしろよ!」とか「もっと突っ込めよ!」とか。熱い激論を交わしてましたよ。まあ内容はくだらないんですけど(笑)
澤井:熱量やこだわりをめちゃくちゃ感じますね。以前森さんと浅井企画の稽古場で、ホワイトボードに女性のおっぱいを描いて、理想の形について2時間ぐらい激論していて。当時は「僕たちは何をしているんだろう」と思いましたが(笑)
江口:まあそういうところがネタに繋がっているんでしょうね。