折りたためるヘルメットがあれば、持ち歩きやすそうだが……。
「そういう声もいただいていますが、残念ながら現状では難しいですね。折りたたみの機構を組み込むと、国内の安全基準には適応しないので、頭部を守るという本来の目的が果たせなくなります。
弊社のようなメーカーが技術開発を進めるとともに、駐輪場でヘルメットを預かってくれるサービスなどがあると、ヘルメット着用が定着しやすくなるのではないか、と思います」
とはいえ、売り上げが増えていることからもわかるように、ヘルメット着用は徐々に広がっている。
「おそらく努力義務を呼びかける側の警察や自治体などの人は、4月からヘルメットを積極的に着用すると思います。
結果、ヘルメットで自転車に乗る人を見かける機会が増えますから、『自分も着けようか』と考える人がジワジワ増えていくのではないでしょうか」
一生のうちで自転車事故に遭わない人のほうが多いかもしれない。だが、だからといって今後も安全とは限らない。
「ヘルメットを着用しても、ほとんどの人は実際に役に立つ場面に遭遇することはないでしょう。でも万が一のときには、何より大事な命を守ってくれますから、ぜひ着用を検討していただきたいと思います」
取材・文/中西美紀