現地の人との交流に注意する
実際に被害に遭い、より一層防犯に努めるようになった、と村田さん。
「トランクを持っていると“旅行者”とバレて標的にされてしまうので、短い距離でも大きな荷物があるときは、タクシーに乗るようになりました。さらに、万一に備えて手持ちの現金は最小限に抑え、財布を分散させています」
また、現地の人との交流にも注意を払わなければならない。アンケートでは「ポーランドの広場でバラを渡され、プレゼントだと思ったら“お返しに寄付をしろ”と言われた」(女性・40代)、「アメリカで路上パフォーマーの写真を撮影したら、10ドルの支払いを要求された」(女性・30代)などの事例も。なかには、有名な観光地でトラブルに遭ったという声も。
「アフリカ旅行でマサイ人の村に立ち寄った際、現地の人に話しかけられて暗いテントに招かれた。“あなたたちは大切な友達だから、これをあげたい”と言われ、土産物のネックレスを売りつけられた。密室だし、断れば何をされるかわからなかったので、仕方なく購入しました」(女性・40代)
トラブル回避のための必要な心構え
村田さんは、こうした現地でのトラブルについて「海外では、日本での“普通”は忘れてほしい」と話す。
「日本の路上ではポケットティッシュが無料で配られたり、写真撮影も比較的自由に行えますよね。しかし海外では“ありえない状況”と考えるのがベター。まず、知らない人からモノを受け取るのは絶対にNG。また、日本語で“日本語の勉強をしているので話をしたい”などと話しかけてくる人もいますが、先方には何か思惑がある可能性もあるので、警戒しましょう。人を疑うのは寂しいですが、トラブルを回避するためには必要な心構えでもあります」
滞在中の対策だけでなく、事前の情報収集も重要、と村田さん。
「海外旅行が決まったら、外務省が運営している『海外安全ホームページ』を活用して、渡航先の情報を集めましょう。このサイトには、現地で多発している犯罪の手口や感染症、紛争の危険情報などが国ごとに掲載されています。犯罪の手口は国ごとに異なるので、渡航前に把握しておくと、対策がしやすくなります。行き先の情報収集は防犯の第一歩です」