以前よりも副作用が軽くなっている側面も
近年、主流になっている分子標的治療薬をはじめとする薬物療法は、従来型の抗がん剤よりも副作用は比較的軽めだという。
「分子標的治療薬は、正常な細胞も攻撃してしまう抗がん剤よりも副作用は軽いといわれています。また、身体全体の免疫に作用する免疫チェックポイント阻害薬や、体内のホルモン環境に作用するホルモン療法も、比較的、副作用は軽めです。
ただし、先ほどもお話ししたとおり、副作用の出方や程度は患者さんによって異なるため、つらい副作用を起こすこともあります。ですから私たち医療者には、どの薬剤を使う時でも慎重な対応が求められます」
近年は、薬物療法による副作用を和らげる方法も進歩している。
「私が腫瘍内科医となった25年前は、抗がん剤治療はつらさに耐えて行うことが当然とする空気がありました。
がんと薬物療法による症状を和らげるための、鎮痛剤や制吐剤などを使っての治療を“支持療法”といいますが、最近は医療者側の認識が変わり、この支持療法の重要度が増しています。
“日本がんサポーティブケア学会”という支持療法のための学会もできており、関心が高まっていることは間違いありません。
実際、吐き気に関してはかなり支持療法が進化しており、同じ抗がん剤を使っているならば、25年前よりも今の患者さんのほうがラクに抗がん剤治療を受けられていると思います」