目次
Page 1
ー あの問題発言は、テレビへの“イライラ手土産”
Page 2
ー 出世すごろくではオードリーに逆転負けしたオリラジ
Page 3
ー あっちゃんがMCになれないのはBIG3とは何の関係もない
 世の中には「ヤバい女=ヤバ女(ヤバジョ)」だけでなく、「ヤバい男=ヤバ男(ヤバダン)」も存在する。問題は「よいヤバさ」か「悪いヤバさ」か。この連載では、芸能人や有名人の言動を鋭くぶった斬るライターの仁科友里さんが、さまざまなタイプの「ヤバ男」を分析していきます。

第25回 中田敦彦

 5月3日放送「あちこちオードリー」(テレビ東京)にて、「BIG3いるのおかしくないですか?」と発言したオリエンタルラジオ中田敦彦(以下、あっちゃん)。この発言だけで判断するなら、先輩批判をするヤバいヤツに思えるかもしれませんが、番組全体を見ると印象は変わるはず。私にはむしろあっちゃんの「テレビに戻りたい」というラブコールのように思えたのでした。

 YouTubeチャンネル「中田敦彦のYouTube大学」は登録者数516万人超え、現在は吉本興業を退社し、家族と共にシンガポール在住と、テレビやお笑いを見捨てて、新しい世界に飛び立った感もあるあっちゃん。仮にあっちゃんが見捨てたはずのテレビの世界に戻りたいと思っていても、それはおかしいことではないと思います。なぜなら、テレビにはネットにはない力があると思うからです。

あの問題発言は、テレビへの“イライラ手土産”

 多くの登録者数を誇る「中田敦彦のYouTube大学」ですが、YouTubeの場合、登録していない人、視聴していない人に彼の動向は伝わってこない。その点、テレビでとがった発言をすれば、ネットニュースになり、コメントがつき、週刊誌が食いつくこともあるというふうに、寄せては返す波のように、ネットが自分の名前を勝手に宣伝してくれるのです。今、世の中のエンタメの主流は「人をイライラさせること」だと私は思っているのですが、テレビに出るなら、話題になるような“イライラ手土産”が必要でしょう。それがあっちゃんにとっては「BIG3いるのおかしくないですか?」だったのではないかと思うのです。

 そうはいっても、こんな発言をすれば、あっちゃん自身の芸能活動に差し障りがあるのではないかと心配する人もいるでしょうが、あっちゃんのうまいところは、ネットニュースになりそうな問題発言を織り交ぜながらも「自分は負けた」というスタンスを崩さないことだと思うのです。