定年後の長い人生は身体のメンテも節約

 また、人生の先輩からは、“定年前に目と歯と足のケアを”というアドバイスをされた、という山崎さん。

「先送りにしていた歯のメンテナンスを行い、自分に合った眼鏡と靴を新調しました。思ったよりお金がかかったので、現役時代に手をつけておいて安心だったなという印象です。

 当時は、60歳を目前に“今更、お金をかけてケアしなくても……”と思いましたが、70歳を過ぎて思うのは“60代ってまだまだ若い!”ということ。人生の先は長いので、先輩の言葉を信じて早いうちにケアをしてよかったと思います」

 こうしたお金や暮らしの知恵、生活圏で役立つ情報も老後の自己防衛には欠かせない。5つ目のポイントは、さまざまなことを相談できるネットワークを作ることだ。

「インターネットの口コミもいいですが、本音で教えてくれる地元のネットワークは心強い。今から地域の活動に参加するなどし、顔なじみをつくるのがいいと思います」

 最後に、この5つのポイントを押さえていき、年金生活を“愛着の持てる暮らし”にしてほしいと山崎さん。

「ケチケチ切り詰めて、不健康、不規則にダラダラ過ごしている日々を愛しいと思える人はいません。最近、私は40年前に買ったテーブルクロスを使って、クッションカバーを作りました。

 思い出の物を活かせたこともうれしかったですし、自分で作ったので節約にもなりました。そのクッションが置かれた部屋での生活が好きだなと思えます」

山崎美津江さん流お金を守る行動5

1. 時間=お金と心得る

2. 1週間の収支を書き出す

3. パートナーと老後のお金についてすり合わせる

4. 目・歯・足のケアをする

5. 生のネットワークを作る

「時間の使い方が乱れている人は、お金もきちんと貯められません」と山崎さん。時間の管理ができなければ、浪費や不健康につながり、負の連鎖に。

「1日の10分、20分をムダにしないことを心がけています」

山崎美津江さん●家事アドバイザー。1948年生まれ。長女出産後に雑誌『婦人之友』読者の集まり「友の会」に入会。整理収納、そうじの腕を磨き、メディアで“スーパー主婦”と取り上げられるほどに。著書に『帰りたくなる家』(婦人之友社)(撮影/永禮賢)
山崎美津江さん●家事アドバイザー。1948年生まれ。長女出産後に雑誌『婦人之友』読者の集まり「友の会」に入会。整理収納、そうじの腕を磨き、メディアで“スーパー主婦”と取り上げられるほどに。著書に『帰りたくなる家』(婦人之友社)(撮影/永禮賢)
【写真】“我が家の1か月の予算”と「家事部屋」にある膨大な家計簿
山崎美津江さん●家事アドバイザー。1948年生まれ。長女出産後に雑誌『婦人之友』読者の集まり「友の会」に入会。整理収納、そうじの腕を磨き、メディアで“スーパー主婦”と取り上げられるほどに。著書に『帰りたくなる家』(婦人之友社)
※山崎美津江さんの「崎」は、「たつさき」が正式表記です

取材・文/河端直子