【8月1日】
いつもは観光客で賑わう国際通り商店街も、台風に備えてシャッターが閉まっている店舗が大半。またいたるところで、建物のガラスや植物にネットがかけられている様子を目にする。理由をホテルのスタッフに尋ねると、
「植物にネットをつけるのは、そもそも植物が飛んでいかないようにというのもあるけれど、ネットをかけないと葉っぱが飛ばされてしまう。沖縄の台風は海水も巻き込むから、その葉っぱのちぎれたところから海水が入って枯れてしまうんです。それを防ぐための対策です」
「コンビニやスーパー、ホテル(の低層階部分)にネットを垂らすのは、看板などが飛んできた際に直接窓ガラスに当たるのを防ぐため。一度ガラスに穴が空いてしまうと、その穴からものすごい勢いで暴風雨が入り込み、部屋のなかが風船のような状態になってしまうんです。そうすると、中のものがぐちゃぐちゃになり、台風が過ぎ去った後の掃除が本当に大変なんですよ……」
なるほど、“台風銀座”ならではの生活の知恵のようだ。確かに現地の台風の恐ろしさはすでにネットでも伝えられており、お笑い芸人のはなわは強風で吹き飛ばされた原付バイクが電信柱に引っかかっている写真を公開したり、一般のSNSユーザーが車内から撮影した“道路まで海”の状態になっている様子も大きく拡散されている。
15時ごろまでは雨が降ったりやんだりを繰り返していたが、16時を過ぎると強風と豪雨で外に出るのが危険な状況に。前日にホテルのスタッフが言っていた通り、“籠城状態”が続きそうな予感だ。非常食の準備ができていない人のために、ホテルの食材をかき集めて作ったカレーを販売するサービスもおこなっていた。すでにコンビニやスーパーが品薄状態が続いているためか、ここでも長蛇の列ができていた。
【8月2日】
一日中、頑丈なはずの部屋の窓もガタガタときしむほどの暴風雨が吹き荒れていた。ホテル内は外に出られず暇を持て余した旅行客が室内プールや温泉、コインランドリーに集中。
とくに普段はやっている屋外プールが使えなくなってしまったため、室内プールに子ども連れが一斉に押しかけ、手を広げることもままならないほどの混雑ぶりだった。コインランドリーもホテル内に10台程度しかないため、24時間誰かが洗濯物を回している状態。我々がやっと使用できたのは、深夜3時だった。
もちろん行動制限のストレスでイライラしている人もいたが、なかには状況を楽しんでいる人も。
「一応私たちも4日に飛行機は取れたけど、帰れるか直前まで分からないですよね。でも普段は子どもと遊ぶ時間をとれないので、こうして子どもたちとプールで遊んだり、一緒にゆっくりお風呂に入れると、それはそれでとても嬉しい」(旅行客)
【8月3日】
雨風ともに関東の台風レベルまで弱くなり、スーパーやコンビニ、飲食店も一部再開。外に出てみると、そこら中になぎ倒された木や土砂が散乱していた。作業員が木を撤去したり、土砂を集めて道の端にまとめておく作業をしてやっと道が使えるようになっていた。しかし、作業が追いついておらず封鎖されている道路もあるという。
「またすぐ戻ってくるから同じように汚れてしまうけれど、一旦どかさないと物流が滞っちゃうから必要な作業。昨日の暴風雨で高速道路に大木が倒れこんで一部封鎖するトラブルもあったようだよ」(撤去作業員)
8月4日にまた沖縄本島に舞い戻ってきてしまう、台風6号。沖縄の人々の知恵を借りながらなんとか乗り切ったものの、またしても欠航・延泊の可能性も否定できない。すでに4日延泊、果たしていつ帰れるのやら……。