経過観察以外の治療法を期待して訪れた病院では、レーザー蒸散手術や円錐切開術といった手術をすすめられた。
あっさりと「切ったほうがいい」
「ある病院では、内診台のカーテン越しに、『こんなになっているならレーザーで焼いてしまいましょう』と言われたんです。まだお互いに顔も合わせていない段階で。だから私は、心の中で叫んじゃいました。『ちょちょちょっと待ってよ、やめて』って。
次のクリニックでも、あっさりと『切ったほうがいい』って言われました。でも、美容院で前髪をカットするみたいに簡単に言われても、納得できない自分がいました」
できればレーザーで焼いたり、手術で切除したりしない治療法はないか。まだがんになる手前なのだから、HPVだけを除去する治療方法はないのか、堀越さんの病院探しはますます熱が入っていった。
レーザーや切開術が悪い治療法であるとは思わない。それが現代医学でいちばんよいとされているのだから。
ただ、自分が望む治療法がないのか、一縷の望みを託して探し続けた。
「母も探すのを手伝ってくれました。見つからなくて諦めそうになったときも、『あなたがいいと思う病院を探しましょう』とエールを送ってくれたんです。夫も一緒に調べてくれるんだけれど、女性の身体のことは男性にはなかなかわからないみたいで、的外れな病院を探したりするんです。
でも簡単に『切っちゃいましょう』と言う病院では、医師に『ほかの病院に行きます』と、きっぱりと伝えてくれました。また、新しい病院に行くときや、そこの通院をやめるときには、必ずそばにいてくれて、それだけでも本当に心強かったです」
治療できないまま、1年がたった。そして、焼いたり切ったりしたくない、そんな希望に応えてくれる医師を、堀越さんはついに探し出した。
「『波平レディスクリニック』の先生が行っている保存療法です。『続ければ必ず治りますよ』の先生の言葉を信じて、50日間休むことなく通い続けました。保険適用でもなかったし、通い続けるのは大変でしたが、“がんの恐怖から解放される、信頼できる医師と納得した治療を行っている”。
このことが希望を失いつつあった私の癒しと力になりました。初めて、“治る”と思うことができたし、前がん段階ではなくなりホッとしました。自費診療なので、50万円くらいかかりましたが、自分なりに子宮を守ったのだと、惜しいとは思いませんでした」