「占いというと、『占いの館』みたいなものを想像するかもしれませんが、いまの主流は電話占い。家の中でほぼ24時間いつでも占い師にアクセスできるので、その手軽さからのめりこむ人が多いんです。
新しい電話占いサイトも増えていて、やはり主婦の利用者が増えている印象です。コロナ禍では医療従事者からの相談も多く受けました」
コロナで深夜相談が増加
そう教えてくれたのは8年前から電話鑑定師をしているAさん。はじめた当初はアルバイトもしていたが、現在はこの道1本で食べていけているという。
「電話占いの料金は1分300円程度。1時間話すだけで1万8000円ほどになります。これを2時間、ほぼ毎日利用する“リピーター”も多いです。相談が夜に集中するので生活が夜型になりがちですが、日中はしっかり身体を休められるし、カウンセラーとして人の役に立っているやりがいも感じます」(Aさん、以下同)
なぜ大金を支払い、占いに依存してしまうのか。前述の水無月さんは、
「不安だから。これに尽きます。『いまの恋人と結婚していいのか』『自分の将来はどうすればいいのか』を自分で決められず、誰かに答えを出してもらうとホッとする。答えに安心感が欲しいんだと思います」
と話す。占い師が注いでくれる“愛情”から離れられなくなるーーそれも大きい。
「自分のプライベートを親身になって聞いてくれて、弱くて醜い部分をさらけ出しても味方でいてくれる。だから離れられなくなります。
占い師からすれば、単に仕事をしているだけに過ぎないけれど、自分を理解し、見守ってくれているのは占い師だけだと錯覚してしまう瞬間がある。ずっとそばにいてほしいから、また電話をかけてしまう……。かつての私もそうでした」
Aさんも占い依存の経験者。きっかけはうつ病だった。
「20年前、29歳のときでした。当時は今のように規制が厳しくなく、たくさん薬を出す時代。言われたままに薬を飲むけれど、よくなるどころか薬の副作用でどんどん体調が悪くなる一方でした。体重は20kgくらい増えるし、目眩はひどいし、もちろん仕事はできないしで、担当医師への不信を募らせていました」
そんなときチャット占いに出合った。
「相談者は相談ごとをチャットに書き込んで、占い師の先生は顔を出してビデオ通話をするという方法でした。グチを言ったり、未来を占ってもらったり。欲しい答えを言ってもらえるまで、何人もの占い師に同じ相談をすることも。
当時は病んでいて電気をつけることもできずに暗い部屋で毎日占い師の先生に相談し、気づけば1か月の請求額は80万円。私は支払えなくなってやめられましたが、もう少し続けていたら借金してでも占いをやっていたかも」