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ー 精神科医が危惧するデメリット

 

「リモートワークが主体になったので、実際にほかのスタッフと会って気軽に近況報告ができるのはありがたいですね」(30代会社員)

 コロナ禍を経て、飲食店に活気が戻ってきた昨今。とはいえ業務形態も多様化したため、職場での飲み会に変化が生まれつつあるという。

社内の会議室やフリースペースで飲み会をする、いわゆる“仕事場飲み”“オフィス飲み”が増えてきています。社内にバーを設置する会社があったり、仕事場飲みを対象とするケータリングや、珍しいお酒がアトランダムに届くという『オフィスde酒ガチャ』(KURAND)のように、法人向けにイベント性を持たせたお酒のデリバリーサービスも出てきており、人気があります」(マーケティングコンサルタントの佐伯春菜さん)

精神科医が危惧するデメリット

 昔から「飲みニケーション」という言葉があるように、職場でのお酒の付き合いは大切とされていたもの。ただ、現在主流の仕事場飲みは、「居酒屋に行く」「定時に集まる」「上司は上座」といった決まりがないものが多いという。

「社内で開かれるため、移動の手間がありません。いつから参加しても構わない、そもそも参加しなくてもいい、好きなものを自由に飲食すればよいなど、かなり自由度が高いのが主流です」(前出・佐伯さん)

 実際、このスタイルの飲み会をよく開催しているという都内のVR企業、株式会社サイキックブイアールラボを訪れたところ、隣の部屋で普通に仕事をしているスタッフもいたりと、各自の働き方を尊重しているのが印象的だった。

「毎月1回程度、全員参加の会議や勉強会のある日の終わりに、ゆるく始めています。社内向けの告知は共有のカレンダーやチャットのみ。社外の方もOKです。強制参加ではありません」(同社の広報担当者)

 なお、こちらの会社ではこの“仕事場飲み”が同社の紹介や新システムの発表の場も兼ねているという。

従来の、上司参加のもとで社員の結束を高めるためや、社員同士で愚痴を言い合う場……というよりも、顔を合わせる機会が極端に減った社員同士の近況報告や、内外の情報交換の場といった意味合いが強いようです。コスト的な面からしてもお得な福利厚生であり、企業の認知度アップにもつながるのではないでしょうか」(前出・佐伯さん)

 精神科医でライフサポートクリニック院長の山下悠毅さんはこう見解を述べる。

「コロナ禍以降、明らかに会社の仲間とみられるグループが、駅付近や改札内の通路などで飲んでおり、まさに目に余る状態でした。それであるならば、このように、いっそのことオフィスで、というのは名案だと思います。料理もデリバリーなどで届けてもらえば、安く、楽しく、きれいに、お酒を楽しめます。

 一方で、デメリットは手軽さの裏側にある『誘われたら断りにくい』『飲食店内のようにほかの人の目がないためセクハラなどが起きやすい』といったことが考えられます。お酒は楽しく飲めば文化のひとつです。一方で、人生最大の過ちもお酒がらみであることが多いのも事実です」

 開催する企業も、参加する人たちも、その点を踏まえて、楽しくリアルなコミュニケーションをしてほしいものだ。