集団生活をしている人や高齢者に特におすすめ

 今年の夏は、夏風邪のウイルス「ヘルパンギーナ」の患者数も過去10年で最多だった。秋冬にはさらにさまざまなウイルスが猛威を振るうのだろうか。

「そのおそれはあります。インフルエンザは南半球のオーストラリアで夏に流行すると、日本でも流行するのが定説。今年、日本では冬を待たずに夏から流行していますので、今から要注意です。ノロウイルスやマイコプラズマ肺炎にも気をつけたいですね」

 ぜんそくやアレルギー性鼻炎の持病がある人は、感染症によって諸症状が悪化する可能性も。特にリスク因子の高い高齢者にはうがいを実践してほしいと伊藤先生は語る。

「免疫力が低下しがちな高齢者が重症化しやすいのは、どんなウイルスでも変わりません。それぞれ生活スタイルもあるでしょうから必ず1日3回以上したほうがいいとは言えませんが、帰宅後と起床時だけでも、お茶うがいを習慣づけてみては」

 静岡県立大学薬学部の研究によれば、ある特別養護老人ホームの入居者124人に3か月間、1日3回のうがいの効果を調査したところ、緑茶カテキンでうがいをした人は水でうがいをした人と比べて、インフルエンザ感染率が低下した。

 睡眠中に口呼吸をしていると、朝起きたときに口がカラカラになるが、乾燥すると粘膜にウイルスや雑菌が付着しやすい。そんな人は特に朝のお茶うがいが有効だ。

 9月は1年最後のお茶摘みの季節。夏の太陽の光を浴びた秋のお茶はカテキンが1年でいちばん多いのだとか。

 周囲で感染症が流行り始めたら、この秋の新茶でうがいをしてみてはいかがだろうか。

伊藤大介先生●医師。一之江駅前ひまわり医院院長。内科と皮膚科を中心に、コロナ診療も含め日々多くの患者の治療にあたっており、「かかりつけ医」として高い信頼を得ている。
伊藤大介先生●医師。一之江駅前ひまわり医院院長。内科と皮膚科を中心に、コロナ診療も含め日々多くの患者の治療にあたっており、「かかりつけ医」として高い信頼を得ている。
教えてくれたのは……伊藤大介先生●医師。一之江駅前ひまわり医院院長。内科と皮膚科を中心に、コロナ診療も含め日々多くの患者の治療にあたっており、「かかりつけ医」として高い信頼を得ている。

(取材・文/宇野美貴子 イラスト/ふるやますみ)