やはり、実写でスポーツを描くには、競技シーンでの説得力が不可欠だとカトリーヌさん。
「それを俳優が演じるのは本当に難しい。その点においても野球が有利なんですね。というのも野球ってある種の型みたいなものがあって、形態模写をする人も多いじゃないですか。投げるにしろ打つにしろ、型をマスターすれば野球経験のない俳優でもどうにか様になる。でもサッカーだとそれは無理なんですよね」
そもそも生身の人間が演じる時点で、スポーツをドラマ化するのはハードルが高い。とはいえ、『ノーサイド・ゲーム』('19年・TBS系)、『陸王』('17年・TBS系)など野球以外でも話題となったスポーツを題材にしたドラマがある。『ルーズヴェルト・ゲーム』もそうだが、これらのすべてが池井戸潤原作の日曜劇場なのだ。
「『ノーサイド・ゲーム』はラグビーの話でしたがスポンサー側の企業にも焦点を当てていたし、『陸王』はマラソン自体ではなくスパイク作りがメイン。『ルーズヴェルト・ゲーム』も社会人野球の話で、主人公の唐沢寿明さんは社長でした。要は競技以外の物語が抜群によくできていたんですね。これが面白いスポーツドラマを作るキモだと思うんですよ。
つまり、競技自体をメインにしないで、それ以外の人間ドラマの部分をふくらませていく。競技シーンはなるべく短くし、できるだけリアリティーを持たせる。それが成功するスポーツドラマを作る秘訣だと思います」
そういう意味では同じく日曜劇場の『下克上球児』は大いに期待したいところ。TBSはスポーツもののノウハウは持っているし、主演の鈴木亮平は身体的なリアリティーもある。しかも、生徒役に関しては野球の実力を含めてのオーディションで選ばれているのだ。
「高校野球ものって若手俳優のブレイクチャンスでもあるんです。『ROOKIES』はもちろん、二宮和也さん主演の『弱くても勝てます』などは野球部員役で福士蒼汰さん、山崎賢人さん、間宮祥太朗さん、中島裕翔さん、本郷奏多さんが出演。加えてマネージャー役が有村架純さんという今考えたらあり得ないような豪華なメンツでした。『下克上球児』でもどんな若手俳優が出てくるのか、すごく楽しみです」
(取材・文/蒔田陽平)