目次
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ー シニア女性の困窮は驚愕の低年金が原因
Page 2
ー ダブルワークもざらパワハラやいさかいも
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ー 犯罪に転落するケースも少なくない ー 遠慮せず福祉制度を利用して ー お金がない……! ときに頼れる制度2つ

 

 止まらない食料品の物価高やガソリン代の高騰、そして円安……。日本じゅうの誰もが先行きの不安を抱いているが、現役世代はまだいい。打撃をもろに受け、人並みの暮らしにすら手が届かない、貧困ど真ん中に取り残されているのが高齢者たちだ。

シニア女性の困窮は驚愕の低年金が原因

 高齢者の貧困問題に詳しい藤田孝典さんはこう語る。

「コロナ禍で貧困シニアは急増しましたが、コロナがおさまっても、一度困窮に陥ってしまった生活はそうそう立て直せない。特に、高齢女性の貧困問題は非常に深刻で、これからも急増していくと思います」

 同じ年代の男性に比べると、苦しい暮らしを余儀なくされている女性たち。この差はいったいどこからくるのだろう。

「それは、女性が圧倒的に低年金だということにつきます」(藤田さん、以下同)

 年金は主に、全国民が加入している「国民年金」と、会社員や公務員として働く人が加入する「厚生年金」があり、その合算が支給される。国民年金の受給平均額は月5万5000円ほどで、男女で比較しても、男性5万8806円、女性5万2708円と、多少女性が少ないものの大した差とはいえない。

 ところが一転、厚生年金となるとその差は歴然。男性の平均額16万3380円に対して女性は10万4686円と、1.5倍以上の差がある。

「今、年金をもらっている世代の女性は、正社員になっても結婚・出産で退職が当たり前。長く働くチャンスを奪われ、再び働きたくてもパートかアルバイトで、当時は厚生年金に入ることができなかった。結果、国民年金だけ、あるいは厚生年金はあってもわずか、という低年金に苦しんでいるのです」

 それでも、夫が厚生年金を受給できていればまだいい。たとえ夫が先に亡くなって単身になっても、多くの場合、厚生年金の受給額の4分の3が遺族年金として支払われるからだ。

「会社で働く夫とそれを支える妻というモデルにあてはまればいいのですが、そこから漏れるととたんに不利になるのが今の年金制度。夫が自営業だったり、夫と離婚した人、早くに死別した人も、ほぼ国民年金しかもらえない。生涯単身で、働いてはきたけれど会社員ではなかったという女性も国民年金しか受け取ることができないのです」

 国民年金──、まるで国民を思いやるような響きの名前だが、実のところ生きることもままならない低年金というのがその正体なのだ。