ダブルワークもざらパワハラやいさかいも
いくら高齢といっても、さすがに月5万円ちょっとの収入では、毎日が生きるか死ぬかの瀬戸際だ。
「そういった低年金女性の倹約ぶりは壮絶で、とにかくお金を使わない。春は野草や山菜を採り、狭い畑で野菜を育て、知人友人に食料品をもらいながら生き延びる。とはいえ、それだけでは苦しいので、身体が動く人は働いている。ダブルワークも珍しいことではありません」
しかし、高齢女性を雇ってくれる職種は限られている。サービス業の人手不足などで求人は増えてきたが、高齢者には狭き門。就ける仕事は介護、保育、飲食業の裏方、清掃など、どれもそれなりに体力を使う仕事ばかり。
でも、たとえ身体のどこかが痛くても、働き口を失いたくないと、「元気です。健康です」とごまかしながら働き続けている人も少なくないという。
「80代半ばで働いている人もざらで、中には年齢を低く言っている人もいます。最近も、清掃の仕事で転んで手をついた拍子に骨折したシニア女性がいましたが、解雇されるのを怖がって労災も申請しなかったと……。仕事を失うのは死活問題なのです」
若い人に交じって働く現場では、パワハラも横行している。足腰は弱り、力もなく、スピーディーに動けない高齢者は、仕事の効率化という点では煙たがられる存在。
「同じ賃金なら、若い人がいいというのが雇う側や一緒に働く人の本音で、『ばばあ、早く辞めろよ』『仕事おせーんだよ』といった罵詈雑言もあると聞きます」
高齢女性が多く働いている介護施設に勤務する50代の女性に話を聞くと、高齢女性同士のいがみ合いや愚痴も目に余ると話してくれた。
「若い人からのパワハラもありますが、気持ちがギスギスしているのか、高齢者同士がたわいもないことで対立したり、ケンカしたりすることも多くて……。『あなたがやったんでしょ?』、『私じゃないわよ!』と失敗の責任をなすりつけ合うこともたびたび。
いつも愚痴ばかりで『ああ、ほんとは辞めたい』、『こんなところで働きたくない』と言ってるけれども、しがみついている感じがして。
職場の雰囲気も最悪で、若い人が嫌になって辞めてしまうんです。生活が苦しいのはわかるんですが、正直、自分は将来こんなふうにだけはなりたくない……って思っちゃいます」
どこかで苦しさを吐き出すしかない現実と悲しみ、孤独。愚痴やいがみ合いは、「助けて」という悲鳴が姿を変えたものなのかもしれない。