YouTubeで家族の一体感が高まった
68歳から始めたYouTubeも、気分転換にひと役買っている。
「私はデジタル音痴で、デジカメで写真すらまともに撮れなかったんです。でも、新しもの好きなところがあるものですから、孫が動画配信しているのをきっかけにYouTubeに興味を持ち、『えいやっ!』と勢いで始めました。撮影に使っているのは10年ほど前に買ったデジカメです」
YouTubeを始めたことで家族にいい変化が生じたという。
「撮影をする際に家族がすすんで協力してくれるなど、より一体感が高まったような気がしています。初めのころ、義母は私が何をしているのかよくわかっていなかったよう。
でも今は、一緒に何かをするたびに『これは撮らなくていいの?』と声をかけてくれたりしますし、いざ撮影となるとまるで女優のように表情が変わります(笑)」
義母にとっても、予想外のいい影響がもたらされたのだ。
「義母は、今年の2月にかなり体力が弱ってしまって。そのことをYouTubeで発信したところ、たくさんの方から応援のコメントをいただきました。ひとつひとつを伝えたところ、『私もまだまだ頑張らなあかんなぁ』と言って食事も少し進むようになり、元気になったんです!
大人だけだと内にこもりがちで単調に過ぎていくだけですが毎日に楽しみが増えて、活気と張りが出て……YouTubeを始めて本当によかったと思っています」
もののはずみさんは自身の暮らしを“平凡な生活”だと語る。
「わが家は古くて狭いですし、料理の食材もインテリアも収納用品もどこでも手に入る普通のもの。100円ショップの新しいキッチングッズを試したり、あるものでDIYを楽しんでいます。
そうした私の暮らしぶりを見て、『自分も何かやってみようかな』と思っていただけたら、とてもうれしいです」
もののはずみさん【かろやかな日常のコツ】
□出来栄えや完璧は求めない。ささやかでも“やりたいことをしてみる”
□先の不安を考えすぎない。年寄りばかりしんみり暮らすより“今を楽しく生きる”
□モノを減らして、食後5分の小掃除。毎日続けて“そこそこきれい”を目指す
□何もなくても食事を“ハレの日”に。食卓や日常に変化をもたらす
□あらかじめ切っておくなど野菜の半調理ストックで栄養面の心配を手放す
(取材・文/熊谷あづさ)