目次
Page 1
ー 入社1年目スタッフは先輩から無視される
Page 2
ー トップ男役を頂点にした“カースト”
Page 3
ー 未婚の連中の言うことは気にせんでええ

 11月22日、宝塚歌劇団に対して兵庫・西宮労働基準監督署(以下、労基)が立ち入り調査を開始。今年9月に起きたタカラジェンヌ転落死事件が社会問題に発展している。

「事件の背景には、劇団内での長時間労働や上級生によるいじめがあったとされていますが、運営側は一貫していじめを否定。今回、労基の介入を皮切りに、宝塚内部で起こった問題の真相が解明されることが期待されています」(スポーツ紙記者)

 しかし、かつて宝塚歌劇団のスタッフとして勤務していた30代の女性A子さんは、このように語る。

「報道を見る限り、今の宝塚は私が在籍していた約10年前とまったく変わっていないと思います。虐げられる人が意見できる環境ではありませんから、労基が入っても、根本的な解決に至るのは難しいのではないでしょうか……」

 A子さんは、自身が体験した宝塚のリアルな労働環境を証言してくれた。

「幼いころに宝塚の煌びやかな世界に憧れて、携わりたい一心で志望しました。入社面接のときから“この会社は理不尽なことで怒鳴られたり、無視されたりしますが大丈夫ですか?”と聞かれたり、入社式でも代表取締役が“劇団のスタッフは阪急グループの中でも従業員満足度が一番低く、離職率は一番高い。へこたれずに頑張ってほしい”とスピーチされるなど、働く前から不安を覚えました」(A子さん、以下同)

入社1年目スタッフは先輩から無視される

 A子さんは舞台で使用する服の選定や管理、本番中に演者に衣裳を着せたりする『衣裳部』に配属されることになったが─。

「衣裳部では入社1年目のスタッフは先輩から無視されるという“しきたり”がありました。そのため、仕事について先輩に質問しても“あんたらから給料もらっているわけじゃないのに何で仕事教えなあかんねん”と突き放されることも珍しくありませんでした」

 無視だけでなく、悪口も横行していた。

「私の同期が体調不良で休んだ際、先輩たちが大声で“どうせ男のところに泊まって、寝坊したんや”と笑っていました。その翌日には、別フロアで勤務する人たちの間でも“男の家を泊まり歩いてずる休みしたスタッフがいる”とすぐに噂になるような職場でした」