目次
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ー 水面下で増え続ける隠れゴミ屋敷
Page 2
ー 隠れゴミ屋敷化しやすい職種とは ー 大量のゴミを分別しながらの作業
Page 3
ー 食品ゴミに群がる大量のゴキブリ
Page 4
ー ゴミで埋もれた台所、自炊できず家計圧迫

ゴミ屋敷」と聞くと、どんな家や住人をイメージするだろう。地方の一軒家で、病的な収集癖がある人や認知症の老人が、自分の敷地にモノやゴミを積み上げ……という図を思い描く人が多いのではないだろうか。

水面下で増え続ける隠れゴミ屋敷

 行政が指導しても解決に至らないことが多く、例えば愛知県蒲郡市では、2021年には69歳の男性宅に対し、行政代執行(所有者の代わりに適正な管理をすること)が行われた。

 2年内で30回以上も訪問指導や要請が行われたが改善されず、火災のおそれや衛生問題もあったことから強制的に実行され、住人には400万円の請求が命じられた。

 近年はさらに別のタイプともいえる“隠れゴミ屋敷”が増えているという。ゴミ屋敷の片付けを専門に請け負うゴミ屋敷パートナーズの石田毅社長によると、

「以前は戸建てに住む老人が典型的でしたが、今は依頼数の1割程度。残り9割は都会のマンション、アパートなどのひとり暮らしや2人暮らしです。年代も若く、新社会人や働きざかりの人たちがほとんどです」と話す。

 多くが賃貸の部屋で、外から見るだけではゴミ屋敷とはまったくわからないのが特徴だ。

「一軒家と違って、賃貸は外にゴミを出す場所がない。共用の廊下に出すわけにもいかないので、家の中にどんどんたまっていく。ドアの前に立ってもわからないけれど、玄関を開けたら腰の高さまでゴミ、というすさまじい部屋も少なくありません」(石田さん、以下同) 

 環境省が初めて実施した全国調査で、自治体が把握しているゴミ屋敷は5200件以上にのぼると発表した。最も多かった地域は880件の東京都で、年代は若年層。

 今までの「ゴミ屋敷=老人、地方」というイメージを覆す結果となり、石田さんの現場の声と一致する。

「ただ、件数に関しては氷山の一角だと思います。うちにくる依頼件数だけでも年間3000件近く。成約に至らない相談もあり、水面下にはもっと隠れていると思います」

石田さんが片付けた部屋の一例。玄関を開けると、胸の高さにまでゴミが積まれているのがわかる 写真/「ゴミ屋敷専門パートナーズ」YouTubeチャンネルより
石田さんが片付けた部屋の一例。玄関を開けると、胸の高さにまでゴミが積まれているのがわかる 写真/「ゴミ屋敷専門パートナーズ」YouTubeチャンネルより