食品を使った手作りコスメを作ってみた……という動画が、TikTokやインスタに出回っている。最近では、市販の乳液や洗顔料に砂糖や塩を加えた手作りのスクラブを発信している人も。“食べられるものを使うから安心”“砂糖には保湿力がある”と紹介されているが……。
自己流化粧品よりもよっぽど安全
「スクラブの細かい粒子が角質を傷めるのも問題ですが、そもそも“食べられるから安心”という認識が根本から間違っています。人間の身体にとって、食べ物はあくまでも異物。栄養だけでなく雑菌や毒性のある物質も含まれています。
人はそれを強酸性の胃液で消毒し、消化して解毒することでようやく体内に取り入れているのです。それを肌に直接ふれさせるのは、危険極まりない行為です」
塩より砂糖を使えば刺激が少なくスクラブが作れるという我流の解説もあったが、肌に刺激が強いのは同じ。
その他、食品を使った美容法といえば、昔からレモンパックやきゅうりパックなども定番だ。
「皮膚科では、レモンやきゅうりの輪切りの形に肌が赤くなった患者さんがいまだに駆け込んできます。防腐剤などの添加物はとかく悪者にされますが、市販の化粧品はアレルギーテストや、消費者の安全を守る薬機法をクリアしていますから、自己流化粧品よりも、よっぽど安全ですよ」
ニキビは毛穴に詰まった皮脂に、アクネ菌が増殖して炎症を起こすもの。ニキビに貼るシール状の“ニキビパッチ”には、患部を保護して炎症を抑える効果があるという。
数々の美容系ユーチューバーやインスタグラマーが、コスパも良い韓国製や日本製の商品をオススメしている。ところが、これも「最悪ですねえ」と北條先生。
「アクネ菌を含め、雑菌は空気にふれない環境で増殖しやすくなります。ですから、パッチで塞いでしまうと、ニキビの原因であるアクネ菌を逆に増やすことに。さらには、他の雑菌も増えて化膿するなど悪化する一方です」
また、ニキビパッチの「炎症を抑える成分」についても疑念が。成分に効果があるのは確かでも、それが有効な濃度で使われているかが明らかではない場合が多いからだ。
「医師が使う塗り薬は、個人の症状に応じて濃度などを調整し処方しますが、市販品はその成分を少しでも入れていれば販売ができてしまうんです。宣伝文句に踊らされて、自己判断するのはくれぐれも禁物です」