2023年3月のWBCに日本代表チーム「侍ジャパン」メンバーとして出場し、覇権奪回に貢献した『千葉ロッテマリーンズ』佐々木朗希投手(以下敬称略)が、チーム内で唯一となる契約未更改のまま2024年を迎えている。
話し合いがもつれた背景にあるのが、シーズン終了後にポスティングシステムでメジャー挑戦を希望する佐々木と、「活躍した選手は後押ししたい」とポスティング自体は容認しつつも、佐々木に関しては“時期尚早”とみなすロッテ球団との“ズレ”。
過去にポスティングシステムを利用してメジャー移籍を叶えた選手といえば、ロサンゼルス・ドジャース所属が決まった元『オリックス・バファローズ』山本由伸をはじめ、日本球界で圧倒的な成績を残した、またはエースとして球団を牽引した、優勝に導いた球界を代表する投手が多い。
たしかに2022年シーズンに史上16人目となる完全試合を達成。昨季は15試合の登板(7勝4敗)ながら防御率は1.78、1.00未満なら好投手とみなされるWHIP(1投球回で四球と安打を含む走者を出した数値)は0.75を記録し、打者を圧倒する投球も披露した佐々木。
彼にしてみれば十分に「活躍した選手」であって日本球界は手狭く感じる、またWBCで世界を肌で感じたことで高校時代から憧れたメジャーの舞台に早く立ちたい気持ちが強まったとしても無理はない。
「本人も“お山の大将”らしいというか頑固な性格で、吉井(理人)監督も育成と指導にあたったコーチ時代はかなり苦労したと聞きます。“メジャー挑戦”の気持ちは固まっていると見えますが、“外野”からの声に影響されている部分もあると思います」
パ・リーグを中心に取材するスポーツジャーナリストが話すように、高校時代より常について回ったのがメジャー移籍を前提にした論争。県立大船渡高校時代には2019年7月、最後の甲子園出場をかけた花巻東高校との決勝戦で登板回避して敗戦。その采配をめぐって大論争が起きたのは記憶に新しいところ。
張本氏に呆れ返ったダルビッシュ
この時、大船渡高校の國保陽平監督は「故障を防ぐため」と、160キロを超す投球に身体がまだ追いついていないことを懸念しての登板回避を明かしたのだが、当時の『サンデーモーニング』(TBS系)に出演した張本勲氏による「ケガを怖かったんじゃ、スポーツはやめたほうがいい」との発言が大炎上。
するとメジャーリーガー・ダルビッシュ有が自身のツイッター(現X)を更新し、張本発言を取り上げたニュース記事を引用しては《シェンロンが一つ願い事を叶えてあげるって言ってきたら迷いなくこのコーナーを消してくださいと言う》と投稿。佐々木を守った同校の采配を尊重してみせたのだった。