“効かない薬”を出す医者がいる

「抗認知症は全部で4種類あり、そのうちコリンエステラーゼ阻害と呼ばれる3種は、細胞同士の連絡を妨げるコリンエステラーゼという酵素の働きを阻害する効果が認められています。

 しかし感情がたかぶったり、攻撃的になったり、また妄想、幻覚、錯乱、嘔吐(おうと)、下痢などの副作用が高い確率で起こることも」

 剤名はさきほどの70代男性が服用したアリセプトに加え、リバスタッチ、レミニールがある。もう1つ、興奮を抑制するメマリーという抗認知症があるが、こちらも確率は低いものの同様の副作用が警告されている。

「抗認知症は扱いがとても難しいで、正しい処方に加え、担当医と家族が効果の有無や副作用の経過を慎重に見守る必要があります。副作用が疑われた場合はただちに担当医に伝えての中止を検討しなくてはなりません」

 それにもかかわらず、副作用が疑われても処方を続け、症状を悪化させる医師が一定数いると小田先生。さらに抗認知症に適応しない患者にも処方が行われているのだ。

認知症には、主にアルツハイマー型、血管性認知症、レビー小体型などがありますが、このうち抗認知症が効果を発揮するのは、アルツハイマー型とレビー小体型だけ。しかし、それら以外の患者にも抗認知症の処方が行われ、効果がない上に副作用だけが現れて病気が悪化するケースもあります」

 治療の手段があるのに目の前の患者さんを放っておけないという変な正義感や、認知症なんてどうせ大半はアルツハイマー型、という思い込みから認知症を軽視し、抗認知症を乱用する医師が少なくないという。

薬に期待しすぎないことがいちばん大事

 そもそも抗認知症は、アルツハイマー認知症の人でも劇的な効果が期待できるのは40人に1人程度と非常に少ない。

「抗認知症は、多くの患者さんに効果が期待できるようなではありません。私が処方する際は、微妙な効果しか期待できないことを事前によく説明しています。患者さんやご家族が抗認知症についてよく理解をし、期待しすぎないことが大切です」

 いま抗認知症を飲んでいる、または家族が飲んでいて副作用が疑われる場合は、迷わず担当医に相談してほしい。

このに注意!
・アリセプト
・リバスタッチ
・レミニール

いま私たちにできること
に過度の期待をしない
・家族はの効果が出ているかを見守る
・副作用が疑われたらすぐに主治医に相談する