人工透析なら障害年金を受給

 腎臓のかわりに機械で血液をきれいにする人工透析。いま年間約4万人が新たに透析を導入していて、そのうち約6割が糖尿病や高血圧が原因だ。

 一般的な血液透析だと、1回4時間、週3回も受けることになり、それが一生続く。医療費はいったいいくらかかるのか……。

「確かに、人工透析には高額な医療費がかかりますが、患者自身の負担を軽減するための制度が整っています。高額療養費制度の特例により、患者本人の自己負担は一般的な収入なら1か月1万円が上限となります。

 ただ、人工透析以外の、糖尿病や高血圧などの持病があれば、それについての医療負担は別途かかります。

 また、体力の低下により、送迎バスや公共交通機関の利用が困難となり、通院のたびにタクシーを利用せざるをえない人が多いようですね。この負担がかなり痛い。仕事を継続することも困難になるケースもあります」

 そのため、高額療養費制度の特例以外の支援もしっかり利用したい。例えば、人工透析を受けている場合、原則として2級の障害年金を受給できるので、まだ老齢年金を受給していない世代なら、年金請求の手続きをしよう。

年金とは別に、身体障害者手帳も申請しておきましょう。医療費の負担がさらに軽減されたり、障害者雇用枠で仕事が見つけられるようになったりするなど、さまざまな経済的なメリットが得られます」

 こうしたさまざまな「もらえるお金」は、自分から申請手続きをすることが必要。

「自分に合った制度がないかしっかりリサーチして、余すところなく利用しましょう」

人工透析でもらえるお金

高額療養費制度の特例

・誰がもらえる?

→透析を受けている人

・いくらもらえる?

→一般的な収入なら、1万円を超えた分の医療費

・どこに申請?

→加入している公的健康保険の窓口

障害年金

・誰がもらえる?

保険料の納付要件など、障害年金受給に必要な条件を満たしている人

・いくらもらえる?

→障害基礎年金2級(昭和31年4月1日以後生まれなら年額79万5000円)
→初診日に厚生年金に加入していた場合、障害基礎年金2級+障害厚生年金2級

・どこに申請?

年金事務所

黒田尚子さん●ファイナンシャルプランナー。セミナーや各メディアでの執筆、個人相談などを通じて、お金の情報をわかりやすく発信。『がんとお金の真実』など著書多数。
黒田尚子さん●ファイナンシャルプランナー。セミナーや各メディアでの執筆、個人相談などを通じて、お金の情報をわかりやすく発信。『がんとお金の真実』など著書多数。
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教えてくれたのは……黒田尚子さん●ファイナンシャルプランナー。セミナーや各メディアでの執筆、個人相談などを通じて、お金の情報をわかりやすく発信。『がんとお金の真実』など著書多数。

取材・文/鷺島鈴香 ※本記事の内容は2023年12月現在のものです。