特に有名なのが、ドラマ版の『チャーリーズ・エンジェル』(アメリカでの放送は'76年~'81年)でのファラ・フォーセット。
「海外の方の髪質だと段を入れるだけであの動きが生まれるみたいですが、日本人の黒髪の場合は一生懸命ブローして作り上げるもの。ゆえに“くるくるしました!”“盛っています!”というオシャレした感に、みんなが引きつけられたのかもしれません」
当時“くるくるドライヤー”は一家に一台あると言って過言でもなかった。
「聖子ちゃんカットは、そのリアルを知る世代には懐かしく、今見てもやっぱり可愛い。
一方、昭和レトロを喜ぶ若い人たちにはすごく新鮮に映るようで、SNSには“美容院で聖子ちゃんカットにしてもらった”という声は結構あります。“やや野暮ったさ&可愛さ”が刺さるみたいです」
だから今、老若男女を問わず聖子ちゃんカット女優には、無条件&反射的にぐーっと寄って見てしまうのだろうと田幸さんは分析。
「『あまちゃん』の有村さんはシャープな顎、丸い顔、パッチリした目が強調されていました。ボリュームのある聖子ちゃんカットは小顔効果があり、眉を見せない前髪が童顔っぽく、強い意志をあまり感じないビジュアルになります。
『不適切~』の河合さんの役は聖子ちゃんカットでも明菜ちゃん寄りのキャラクターですが(笑)、そこが特に“おじさん脳”の方に響くんだと思います。『VIVANT』('23年)もそうでしたが、おじさんまでもが騒ぐとヒットになる。
聖子ちゃんカットをフックに、おじさんを筆頭とした視聴者たちが顔や名前を認識することは、女優さんにとってさらなる飛躍につながる面はあるんだと思います」