目次
Page 1
ー ライブと物販の収益で生計
Page 2
ー C-C-B時代は給料制、円満退社で脱退した
Page 3
ー 小説家や役者に挑戦するも、酒に溺れて困窮 ー メンバーの早すぎる死で再結成は不可能に
Page 4
ー お酒をやめて健康を回復し楽曲にも変化が
Page 5
ー 母はエホバの証人の信者で自身も洗礼を受ける
Page 6
ー 17歳で脱会するが母は輸血拒否で亡くなる ー 宗教2世として悩みを持つ人に寄り添う

 日曜日の夕方、東京・阿佐ヶ谷にある小さなライブハウスの前で数人の女性が開場を待っていた。この日、弾き語りで演奏するのは元C-C-Bの関口誠人。'80年代にポップな楽曲『Romanticが止まらない』で一世を風靡したC-C-Bで、ギターとボーカルを担当していたのが関口だ。近年、自身が宗教2世であることを告白したことで改めて注目を浴びている。

ライブと物販の収益で生計

C-C-Bのメンバーと。左上から時計回りに米川英之、渡辺英樹、田口智治、笠浩二、関口
C-C-Bのメンバーと。左上から時計回りに米川英之、渡辺英樹、田口智治、笠浩二、関口

 この日のライブの観客は15人ほどで、小さなハコのため至近距離で関口の歌を聴くことができる。オープニング曲は『コンビニ強盗』。C-C-B時代の明るくノリのいい曲とは打って変わって、ギター1本で孤独や苦しみの心情を歌い上げるのが今のライブスタイルだ。

「中森明菜さんがベストアルバムを出されましたが、僕が作曲した『二人静』も収録されました。おかげで印税をいただけそうで少し潤います(笑)」

 現在はライブと物販の収益、受注制作のグラフィックアートで生計を立てている関口。経済的に余裕がない状況を包み隠さず話し、フェイスブックやXでライブの告知をして自ら集客している。

 観客のほとんどはC-C-B時代からの往年のファンだ。親となり子どもを連れて来たり、YouTubeでC-C-Bを知り、やって来る20代の若者もいるという。

 その月が誕生日の観客にはライブ前に名前を書いてもらい、ライブ中に名前を入れてバースデーソングを歌う企画も好評だ。ライブ終了後には自身がデザインしたグッズの販売を行い、サインや記念撮影にも応じ、C-C-B時代には考えられないようなファンサービスに驚かされる。

「歌というのは苦しさや寂しさを抱える人のためにあるもので、楽しいときには実はそんなに必要ないんじゃないかなと思います。僕は大勢の人を楽しませるために歌うのではなく、たった一人の孤独を抱える誰かに届けるために歌っています」

 ライブ途中のMCで、関口は自分が歌い続ける意味を語っていた。Xでも次のようなつぶやきがあった。

《いつも涙の理由を歌っている。涙を流す時の心は一人ぼっちだ。君は君一人で泣く。僕も僕一人で泣く。だから僕は君達のために歌うわけじゃなく君だけのために歌う。だから君がいなかったら歌う意味がないんだ》

 一方でC-C-Bは今の関口の音楽性とは真逆のようなスタイルだった。なぜ関口はC-C-Bで活動していたのだろうか。