さらに、愛飲している漢方薬についても発見があった。
「西洋の薬に比べると、程度はともかく、効果はゆっくりというか、長く飲み続けては
じめて効果が出るのが漢方薬だと思っていたんですけど、中には、飲んで5〜10分とか、半日くらいで効果があらわれるものもあるそうなんです。これは驚きでしたね〜。ブレンドする漢方の数や種類で、効果がいろいろ変わるんですって。あと、大腸の中にいる腸内細菌とも密接な関係があるんだとか。私、乳酸菌や麹菌とか、“腸活”のために発酵食品は意識的にとるようにしているんですが、ここにもつながりがあるとは。漢方とは長い付き合いだと思っていましたが、案外、知らないことってあるものですね(笑)」
近年、漢方や鍼灸など東洋医学の研究はますます進んでいて、その効能やメカニズムが科学的に証明されたり、新たな効用が発見されたりしている。中には日本を飛び出し、海外の治療現場で成果をあげているものもあるほどだ。
体調を崩した30代、東洋医学に望むこと
そして、冨永さんが期待を寄せているのは、中でもメンタルヘルスやホルモンのケアの面での効果だという。
「女性はメンタルバランスや免疫力などがホルモンに左右されやすいですよね。それを東洋医学が支えてくれるようになれば、と思います。どんなに不調でもすぐに薬だけに頼るのに抵抗がある場合もありますから」
例えば授乳期には、もし風邪をひいてしまっても強い薬は使えない。しかし、やさしく作用するような漢方やお灸であれば、比較的取り入れやすいだろう。
「不調のときに、病院まで行かなくてはいけない西洋医学にだけ頼るのではなく、自分でメンテナンスができる漢方が手元にあれば、なにかと忙しい現代女性にぴったりだと思います」
冨永さんは、30代のころに体調を崩したことで、自身の体力の変化に気づき、これまでの生活を細かく見直すという経験をしている。
そのときに感じた「ずっと20代と同じではいられない。これまでと同じ生活を続けていたのではダメだ」との思いは、今後も年齢とともに変化し続けていくであろう自身の身体と向き合うきっかけになった。
「40代になって、今度はプレ更年期といわれる年代に入ってきましたけど、相変わらず、冷え、首や肩のこりは続いています。耳鳴りやストレスが胃腸に響きやすいのも、悩みといえば悩みですね。それらが、今後、どう変化していくのか……。ホルモン検査なども受けて対処法は考えていますけど、そのひとつに、東洋医学をぜひ取り入れたいと思っています。とりわけメンタル面ですかね。メンタルを支えてくれる東洋医学がもっと身近にあれば、女性たちは心強いんじゃないかと思います」
NHKスペシャル 東洋医学を“科学”する
~鍼灸・漢方薬の新たな世界~
5月19日(日)21:00~21:49放送予定
鍼灸にはどんな効果が? 漢方薬が効くメカニズムは? モデル・冨永愛さんが専門家の施術や診断を通して東洋医学を体感! 世界各地の研究や臨床のドキュメントを交えながら西洋医学と東洋医学が出合うことで広がる新たな医療の可能性に迫っていく。
取材・文/八坂佳子