例えば今年1月に発生した能登半島地震では、避難所で物資を配る男性が「生理用ナプキンは1人2個まで」と指定したことが波紋を呼んだ。2個では到底足りないということを、男性は知らないのだ。
生理についてオープンに語れるようになれば、社会は変わるはず
しかし、世の中の男性の生理に関する知識は、これとほぼ同程度だという。
「社会人の男性を対象にした生理セミナーを開催すると、ナプキンは1日1枚でいいと思っている人がほとんどです。でもそれも仕方ないことで、これまで男性は生理を知るチャンスが、とにかくなかったんです」
一方で女性も、全員が生理について正しい知識を持っているかというと、そうではない。経血の量や月経痛に、想像以上に個人差があることを知り、驚く女性も多い。
「自分の生理を、人と比べる機会はほぼありません。月経痛がどんなにひどくても『みんなもこの痛みに耐えている』と思い込み、1人で抱え込んでしまうんです。また、セミナーに参加し、『月経痛に悩んでいるのは自分だけではなかった』と、涙される方もいます」
セミナーでは、サニタリー期間の選択肢のひとつとして、吸水ショーツの紹介もされた。
「長らくサニタリーアイテムは進化してきませんでしたが、近年はさまざまな選択肢があります。吸水ショーツもそのひとつ。ショーツ自体が水分を吸収してくれるので、ショーツ1枚で漏れの心配をせず1日過ごしていただけます」
生理が始まったばかりで周期が安定しない小学生や、月経の乱れが始まる更年期の女性たちを中心に、広がりを見せている。
「ユーザーの中に、知的障害のあるお嬢さんがいらっしゃいました。ナプキンをうまく使うことができず、お母様のお手伝いが必須だったそうです。でも吸水ショーツに替えてから、その必要がなくなり、お母様から本当に助かったと言っていただけました。サニタリー期間でも、快適に過ごせる選択肢がたくさんあることを、もっと広めていきたいんです」
高橋氏が目指すのは、生理があることで女性が諦める必要のない社会づくりだ。
「生理は性別関係なく、みんなで学ぶべきこと。生理についてオープンに語れるようになれば、もっと社会は変わるはずです。今ようやく、そのスタート地点に立ったと感じています」
取材・文/中村未来