落ち込むときはとことん落ち込んで、弱音を吐く
自分がどこまでできるのか不安も抱えている南谷さんだが、思いに共鳴し、一緒に働いてくれる仲間もできた。「NPO法人いきば」を南谷さんと一緒に運営する中山清佳さんは、勤めていた会社を辞めて、南谷さんと働くことを選んだ。
「私はもともとグループホーム運営のアニスピホールディングスに勤めておりましたが、会社の関連のNPO法人を南谷さんに譲ることが決まりました。私はそのお手伝いで参画したのですが、南谷さんの福祉への考え方に共感し、会社を辞めて一緒に活動することにしたのです。障がいがある人だけでなく、彼らを取り巻く環境やご家族にも目を向けて、課題を解決していくパワーが南谷さんにはありました」(中山さん)
しかし運営はスムーズにいかないことも多かった。そんなときにパワフルな南谷さんの意外な一面を見たそうだ。
「落ち込むときはとことん落ち込んで、弱音を吐くので、強い人ではないんだと思いました。だからこそ、弱い立場の人たちの気持ちに寄り添うことができるのでしょうね。
私は母を亡くしているのですが、南谷さんを母のように慕っています。若いお母さん方で、私と同じ気持ちの人は多いのではないでしょうか。優しいだけでなく、愛のある厳しい指導をされていて、まさにみんなのお母さんだなって思います」(中山さん)
一方で南谷さんは数秘術という占いを学び、占い師としての顔も持っている。
「行き詰まっている人は、思いや悩みを吐き出す場があれば、気持ちが少し軽くなるはずです。例えば『運気は変わるもの。この先はよくなる』といった希望を持って生きてもらうために、占いを活用することは悪いことではないと思っています」
一緒に働いている中山さんも、南谷さんの占いのファンだ。
「私がこれまで鑑定してもらった占い師の中でダントツで当たっていました。私の周りの人たちもみんな鑑定してもらっていて、すご腕占い師だと思います」(中山さん)
コロナ禍による不景気や物価の高騰などを背景に、食材の寄付は減っているが、著名人から寄付が来ることもある。芸能人では歌手の小林幸子さんも南谷さんの子ども食堂を支援している一人だ。昨年は小林さんが自ら手がけるブランド米の「幸子米」150キロを寄付してくれた。
「150キロのお米というと3か月半~4か月分になるのでありがたかったです。小林さんは子ども食堂に来てくださり、子どもたちと一緒におにぎりを作ってくれました。このことはニュースとしても取り上げられ、著名人の方が発信してくださることで、子ども食堂の現実を多くの人に知っていただけることがありがたいです」
6月に行われた小林幸子さんの芸能生活60周年記念祝賀会では、「こども食堂サザンクロス」を利用する子どもたちが歌のプレゼントを行った。
「子どもたちは一生懸命練習して舞台に立ち、観客の皆さんから大きな拍手をもらってとてもイキイキしていました。誰かに喜んでもらうために頑張るのは、子どもたちの生きる力にもつながります。こんな素敵な機会を与えてくれた小林さんに感謝しかありません」
当の小林さんは次のように話す。
「南谷さんは損得ではなく、困っている人にすぐ手を差し伸べてしまう、そういう性分の人。昔はこういう人が多かったけれど、今の時代はみんな自分のことでいっぱいいっぱいなので、本当に貴重な人だと思います。私も困っている子どもたちに何かしてあげたいと思うけれど、直接何かをするのは難しいので、南谷さんを支援し、応援しているんです」