「復縁を申し込まれた」

 報道の中には、沙也加さんが前山さんとの関係に悩んでいただけではないという記事もあった。愛犬の死、高音が思うように出せないことへの悩み、大きな舞台に出る重圧、心療内科で処方されていた薬を忘れてきたことなどが重なって、死を選んでしまったのではないかという臆測もあった。

「神田さんご本人のプライバシーに関わることは、僕からはお話しできません。ただ、2人の関係性でいうと、交際期間は2か月ほどで、あのとき(『マイ・フェア・レディ』の公演時)にはすでに別れていました。

 年齢的なこともあり、最初から結婚を前提にお付き合いをしていたことは事実です。でもケンカが絶えず、神田さんから『別れよう』と言われ、僕も了承したのです。その後、神田さんから復縁の話がありましたが、僕も舞台に出演中だったこともあり、きちんと話し合う余裕がありませんでした

 当時の週刊誌には、前山さんが沙也加さんを罵倒した音声が残っているということや、前山さんが沙也加さんの前に交際していた女性とのLINEのやりとりが掲載された。それは事実だろうか。

罵倒したのは事実ですが、神田さんとの関係に疲れて、僕自身も精神的に参っていました。元カノとのLINEのやりとりは、神田さんと別れた後なので二股ではありません。ただ、神田さんとの付き合いが短く、彼女の性格や心情を深く理解してあげられなかったことは、本当に申し訳なく思っています

 身近な人が精神的に不安定な状態のとき、どう対処すればいいのか。精神科医でライフサポートクリニック院長山下悠毅さんは、「1人で支えようとするのはNG」と話す。

「よかれと思って発した言葉も、人によって受け取り方が違います。『時間がたてば解決するよ』と伝えて楽になる人もいれば、絶望を味わう人もいる。ですから、家族、友人、恋人など支える人を分散させて、いろんな意見を伝えるようにしてください」(山下さん、以下同)

 精神的に不安定な人の話を毎日聞くことも簡単ではない。聞いているほうが参ってしまうと、相手から離れる選択をしてしまうこともあるという。

「話を聞く人が不安にならないよう、聞く時間を区切ることが大切です。毎日5分とか10分と決めると対処しやすく、話をする側も相談相手を失わずにすみます」

 一方、身近な人を亡くし、それに加えてさまざまな形でバッシングを受けることになった前山さんを心配する人も多かった。

「僕が死んでしまうのではないかと家族は心配し、根気よく見守ってくれました。元の事務所の関係者や先輩方、友達も話を聞いてくれたので、心の支えになっていました」(前山さん)

 SNSの誹謗中傷は社会問題となっており、中には自殺する人もいる。誹謗中傷に対するスタンスについて山下さんは次のようにアドバイスする。