小林麻央さんは“がん友”

「私はまる9年間、2週間に1回のクールで、すでに200回を超える抗がん剤治療を続けています。抗がん剤はパクリタキセルとアバスチンの組み合わせなのですが、副作用がきついといわれるパクリタキセルの200回を超える連続実施症例は非常に稀で、ギネスに申請できるぐらいだと思います(笑)」

 ひろさんが9年間のつらい抗がん剤投与に耐えられたのは、同時に行っていた超高濃度ビタミンC点滴で副作用を抑えられたからだという。

「抗がん剤治療をすると体力が落ち、髪の毛も抜けて、食欲も減退し、生きる気力が失われてしまいます。私はそうではありませんでした」

 部分ウィッグを使っているとはいえ、ひろさんの髪はつややかでふさふさ、肌も白くてすべすべ。食欲旺盛で活力に満ちている。コロナ禍の2021年には、ワクチン接種の看護師業務に復帰。集団接種会場で不特定多数の人々と接したが、コロナウイルスに感染もしなかった。

「あのコロナ禍、何もしないでいるのがいたたまれなかったんです。何のために生きてるの、私?って自問しました。何かの役に立つなら今じゃないのかと」

 当然、看護師業務への復帰に担当医は渋い顔をしたが、「がん治療のために生きているわけじゃないよね」

 と、最後には納得し、応援してくれた。

「私ががん治療をしているのと同時期、小林麻央さんが乳がんになったのが話題になりました。同じ乳がん患者として、私は勝手に麻央さんと一緒に闘っている気持ちでいました。彼女のブログを読んで、毎回コメントもつけていたんですよ。

 残念なのは、彼女が標準治療を拒絶してしまったこと。私は抗がん剤に効果があると思っていますし、必要性を理解しています。ただ、抗がん剤治療を行う医師はほぼ補完代替療法を受け付けませんし、一方で代替療法の医師が抗がん剤を否定することも。両方を行うのは患者にとって難しいのも事実です。

 いろんな治療の可能性を閉ざされることが、どれだけ患者さんにとって残酷か。麻央さんのような例を見ると、本当に残念ですし、医療のあり方に疑問も感じます」