美智子さまが癒され、ピアノの連弾演奏も

 幅広い層から人気のある舘野だが、上皇ご夫妻との親交が長く続いていることでも知られる。

 舘野がご夫妻に初めて会ったのは1983年のことで、皇太子、皇太子妃としてフィンランドを訪問されたときだった。

 大使館で舘野に挨拶をされた皇太子さま(現・上皇さま)は「美智子がいつもあなたのお話をしています」と話され、皇太子妃だった美智子さまは「やっとお目にかかれました」と喜ばれたという。

 1993年、美智子さまが失声症になられたときには、ご夫妻から赤坂御所に招かれた。そのとき舘野は数曲演奏したが、美智子さまが紙にメッセージを書かれ、「シベリウスの『樅の木』を演奏するので手ほどきを受けたい」と依頼されたという。

「ペダルの踏み方などをアドバイスさせていただきました。美智子さまは熱心にご覧になられていました。お食事もご一緒させていただき音楽談議が楽しかったです。

 翌日、紀宮さまからお礼の電話をいただいたのですが、美智子さまからの『音楽の力は不思議です。浄化されました』というメッセージをお伝えいただきました」

 舘野が左手のピアニストとして復活して間もなくの2004年秋には、フィンランド大使館のパーティーで美智子さまと一緒に連弾を行った。

「『みんなを驚かせましょう』という美智子さまからの提案でした。美智子さまはおちゃめでチャーミングな方です。毎年のようにコンサートにもいらしてくださり、大きな励みです。またコンサートでお会いできるとうれしいです」