その後の暮らしが楽になる「繰下げ受給」は1年で8.4%増!

 受給年金の金額を増やす方法として、ベーシックなのが年金をもらい始める年齢を遅らせる「繰下げ受給」。

「原則は65歳からの受給ですが、その時期を少し後ろにずらすだけで年金額が増えます。66歳以降には年金をもらうタイミングを1か月単位で遅らせることができ、1か月につき0.7%の上乗せに。1年遅らせると8.4%も増えるのです」

 例えば5年遅らせて70歳からもらい始めると42%、10年遅らせて75歳からもらい始めると84%も上乗せされる。とはいえ、今もらえるものを先送りするという選択に不安を覚える人も。

「“繰下げみなし増額制度”という仕組みがあり、繰下げ待機中にそれまでの年金を5年間さかのぼって一括で受け取ることができます」

 また、会社員や公務員におすすめなのが、国民年金と厚生年金のどちらか片方だけを繰り下げる方法だ。

「この方法の大きなメリットのひとつが、年金にかかる税金を減らせること。夫婦の場合は、妻だけ繰下げるという方法もあります」

 繰下げ受給に関しては、「長生きしなければ損をすることになるのでは?」という疑問が頭をよぎる。どれくらい長生きをすれば繰下げ受給をして得になるのだろうか。

分岐点となるのは、もらい始める年齢プラス11歳です。66歳でもらい始めた場合は77歳以上、70歳でもらい始めたなら81歳以上長生きできると得することになります