日常のちょっとした工夫が温活に
低体温を放置すれば健康寿命を縮めてしまうことにもなりかねない。そこで有効なのが、川嶋先生も実践している温活だ。
「基本は、身体を冷やさない生活をすること。まず冷蔵庫から出してすぐの食べ物、飲み物はとらないように心がけてください。常温の食べ物や飲み物をとっても冷えによる不調が続くようであれば、体温より高い温度に温めて食べること。
私は身体を温めるために毎朝起床後、体温より少し温かい白湯(さゆ)を飲んでいます。胃腸が温まって活発になり、血流が上がって身体全体が温まるんです」
そして、身体を温めてくれる働きを持つ根菜類や発酵食品、しょうが、肉や魚などのタンパク質食材を積極的にとる。
「和食は身体を温める食材を多く使うので、温活におすすめ。さらに噛むという動作も熱を生み出すので、ひと口30回を目安にしっかり噛んで食べることを心がけてみてください」
こうした食習慣に加え、体温アップには身体の熱をつくり出す筋肉を増やすことも欠かせない。
「運動は温活に必須ですが、苦手で継続できないという人も。そこでおすすめしたいのが、日常生活を少しきつくすること。例えば、歩くときは大股で速く、洗濯物を干すときは1枚ごとにしゃがむ、立ったまま料理や洗い物をしながら踵(かかと)の上げ下げをする、など。
いつもの行動を少しきつくするだけで筋肉量の維持につながります。階段を見たら無料のジムだと思って積極的に上ってください。散歩はアルツハイマー病のリスクも減少させるので、やって損はありません」
温活で体温が0.5度上がれば、全身の血流がアップしてエネルギーの産生や脂肪の分解、傷ついた遺伝子の修復などさまざまな役割を担う酵素が活性化。身体全体の機能が改善され、健康維持につながる。その一方で注意したいのが、間違った温活だ。
「40度以上の熱いお風呂や高温のサウナで身体を温めようとするのはNG。急激に身体を温めると汗をかいて、かえって体温が奪われてしまいます。また激しい運動も体内に活性酸素を増やし、体温を低下させます。活性酸素は老化も早めてしまうので要注意」