最近は、50代、60代、70代の婚活も盛んです。この世代になると、初婚同士とは限らず、再婚同士、再婚と初婚のカップルの組み合わせもあります。この中で、お付き合いに入ったときに難しいのが、再婚と初婚のカップルです。
仲人をしながら婚活現場に関わる筆者が、目の当たりにしている婚活事情を、さまざまなテーマ別に考えていく連載。今回は、再婚と初婚のカップルに持ち上がる問題点について、考えてみましょう。
10年の不倫がもたらした結末
みゆきさん(50歳、仮名)は、これまで一度も結婚したことがなく、「この先ひとりで歳を取るのは寂しい」と、結婚を真剣に考えるようになりました。
入会面談に来たときに、みゆきさんは言いました。
「30代後半から10年、不倫をしていました。『妻とは別れて、キミと一緒になりたい』と言われていました。これって、不倫の常套句(じょうとうく)。頭ではわかっていても、相手のことが好きだったから、心のどこかで淡い期待を抱いてしまった」
そして、年月を重ねてしまったようです。しかし47歳になり50歳が見えてきたころから、「こんな付き合いをしていても、未来に結婚はない」と、冷静に考えるようになりました。
ただ、一度結んでしまったご縁は、なかなか断ち切れません。また、その年月が長いほどに、関係を終わりにするには、きっかけと勇気が入ります。
そんなとき、最愛の母が病気で亡くなりました。みゆきさんは、47歳になっていました。母ひとり、子ひとりの母子家庭で育ったので、一人取り残された気持ちになりました。
「そこで、目が覚めました。彼には法律で認められた家族がいる。でも、私はひとりぼっち。婚姻届ってたった1枚の紙切れなんですが、それがあるかないとでは、関係が大きく違う。
私が病気で倒れても、彼は保証人になれない。保証人になってくれる母は、いなくなってしまった。彼とはキッパリ別れて、これからの人生をともに歩けるパートナーを見つけて結婚しようと思いました」
そこで、みゆきさんから別れを切り出したそうです。
「彼は、少し悲しそうな顔をしましたが、別れることをすんなりと受け入れました。彼の薄い反応に拍子抜けしましたが、奥さんと私の間を行ったり来たりする関係に、もう疲れていたのかもしれません」
こうして心機一転、新しい出会いを期待したのですが、40代後半になると、自分の生活圏内には、なかなか素敵な人との出会いがなかったようです。お花見やワイン会などのイベントを楽しみながら、40代、50代が婚活できるサークルに登録をしたようですが、そこではいい出会いがありませんでした。
「10年不倫にかまけていたことを、後悔しました。女性って年齢を重ねるとともに、手放すものが出てくる。40歳になったとき、『今彼と別れてほかの人と結婚したら、子どもも持てるかもしれない』と思いました。
でも、実行に移すわけでもなく、ずるずると関係を続けていた。46歳になったときに、『私は子どもを持てない人生になったな』と、諦めました。また歳を重ねるほどに、いい出会いもなくなっていきました」