ピンクリボンアドバイザーを取得
この間、今泉さんはピンクリボンアドバイザーの初級、中級の認定を相次いで取得している。ピンクリボンアドバイザーとは、乳がんにやさしい社会を目指す新しい形のボランティアだ。
「ピンクリボンアドバイザーの試験を通じて大切なことを学びました。この認定の目的は自分の知識を相手に与えるのではなく、まずは人に寄り添って話を聞ける人であることが大事。その役割をいただいたと認識しました」
実生活でもすでに生きている。
「乳がんと判明した知人に“ピンクリボンアドバイザーの認定を持っているから何か相談したいことがあれば連絡して”と伝えられたんです。心細い人にとっては、安心して自分の状況を話せるのではないかと。まずは身近な人が元気で闘病生活を送れるように寄り添うのが私の役目と思っています」
今回、乳がんになったことを公表しようと決めたのも、少しでも乳がん検診や受診を促し、誰かのサポートができればという気持ちからだった。
「乳がんは私のように自分でも見つけられる病気です。私が梅干しの種という感覚でがんに気づいたように、私の記事を読んで、できるだけ多くの方が、自分で触診の習慣を身につけたり、乳がん検診に行くきっかけになったら幸いです」
そんな今泉さんの闘病中の心残りは“がん保険”について。
「入院した日数分の給付だけでなく、検査の費用や通院時の交通費、下着やかつらなど身に着けるものを購入する必要もありますし、仕事を休んでいる間の保障もある手厚いタイプに入っておけばもっと安心だったと思いました。また、各自治体でがん治療に際してさまざまな補助金が受け取れるケースもあるので、調べたり、相談することをおすすめします」
ホルモン療法はあと1年と数か月でひと区切りがつく。
「好きな料理を作ったり、推し活、ヨガ、金継ぎなどの趣味の時間を楽しんだり、部屋に花を飾り、手入れをしたり、この先再発の可能性もある病気なので、日々の暮らしを大切にしたいと思っています」
今泉久美さん●山梨県出身。栄養士、料理研究家。女子栄養大学卒業。同大学栄養クリニック特別講師。新聞連載や雑誌、テレビなどで活躍中。近著に『いくつになっても「骨」は育つ!』、『豆を食べる習慣が体を守る!』(ともに文化出版局)など。退院後は毎日の食事内容をブログやインスタにアップしている。
取材・文/荒木睦美