『北越雪譜』が出たのは、天保8年(1837年)。牧之はすでに68歳になっていた。40年越しで出版の運びとなる大団円は、じわじわと感動が押し寄せ、もはや読み終わるのが寂しくなってくる。
「読む・書くは人間にしかできない」
「書きたい、何か表現したいというのは、誰の心にもあって、共感してもらえるかなと思います。読む・書くは人間にしかできないこと。楽しんでほしいですね」
本書のカバーや表紙の絵は『北越雪譜』からいただいた。吹雪の中を歩く村人や雪の中での生活の様子などが描かれている。この冬、読んでほしい一冊だ。
最近の木内さん
「ずっとソフトボールをやっていました。今は、1週間に3回ほどジムに行って、ボクササイズをしています。息が上がらないと運動した気にならなくて。野球はヤクルトファン。神宮球場に年5~6回行きます。高校野球も好きで、甲子園まで観戦に行ったりします。いい選手が、プロで活躍するとうれしいです(笑)」
『雪夢往来』木内昇
新潮社 税込み2200円
取材・文/藤栩典子
木内昇(きうち・のぼり)/1967年生まれ。出版社を経て編集者・ライターとして活躍しながら、2004年『新選組 幕末の青嵐』で小説家デビュー。2009年『茗荷谷の猫』で早稲田大学坪内逍遙大賞受賞。2011年『漂砂のうたう』で直木賞受賞。2014年『くし挽道守』で中央公論文芸賞、柴田錬三郎賞、親鸞賞を受賞。他に『よこまち余話』『球道恋々』『惣十郎浮世始末』など。